子どもを勇気づける とっておきの言葉3

金盛浦子

子どもに愛を伝えることの大切さを忘れていませんか? 愛を注ぎ、自信や希望、喜び、安心感を与える大事な言葉。金盛浦子先生の『子どもを勇気づける とっておきの言葉』は、子どもが明るくのびのび育ち、子育てに勇気がわく一冊です。ここでは本書の一部をご紹介します。

※本稿は金盛浦子著『【新装版】子どもを勇気づける とっておきの言葉』から一部抜粋・編集したものです

金盛浦子(東京心理教育研究所所長)
1937年生まれ。心理カウンセラー。小学校教諭を務めた後、大学病院などで心理臨床経験を積み、’78年に東京心理教育研究所を開設。’90年より自遊空間SEPYを主宰。著書に、『伸びる子の9割は、「親の口グセ」で決まる』(PHP研究所)など多数。

「すべてなんとかなる」

「あら、やっちゃったね! でも大丈夫。なんとかなるよ」

子どもの日々は、新しい経験の連続。だから失敗や行き過ぎは日常のこと。何かをこわしたり、粗相をしてしまったり、迷惑かけたり、いろいろしでかします。

ずいぶん大きく育つまで、次から次へと連発する失敗や行き過ぎを防ぐためには、叱るのが一番ですか? 厳しく指摘して思い知らせるのが大切ですか?

そうですね。厳しく叱責することが必要な場面もあるかもしれません。でも、それはごくごくまれなこと、多分、1回か2回あるかないか、でしかありません。気づいておきましょうね。

子どもの心だけではありません。人間の心は、厳しく叱責されればこわばります。こわばると、どうしてもミスを重ねてしまうのが人間の心、心に支配されている体です。

大人は、背を向けた瞬間に舌を出して忘れるずるさを知っています。だから心も、大人の場合はそうそう簡単にはこわばらないかもしれません。

けれど子どもの心は、どんなに平気を装うとしても、大人の叱責、ましてお母さんの叱責には萎縮し、堅く堅くこわばってしまうのです。失敗や行き過ぎを見逃す必要はありません。けれど叱責する必要もありません。

「あら、やつちゃったね! でも大丈夫よ」

まずは安心させてあげましょう。安心させながら、後始末を手伝いながら、ゆっくり優しく、できるだけ少ない言葉で諭してあげる。それが最善です。

大丈夫、すべてなんとかなるんだもの、ね。

【新装版】子どもを勇気づける とっておきの言葉(PHP研究所)
強く優しい心をはぐくむためには、親がどんな言葉をかけるかが、非常に重要になります。子どもが明るくのびのび育ち、子育てに勇気がわく一冊です。