子どもの語彙を楽しく増やす 家庭の習慣

高濱正伸
2023.11.01 15:51 2023.03.08 09:51

9歳まではオタマジャクシ

絵を描く子ども

○幼児期は「夢中体験」を増やす

カエルにたとえると、9歳までは「オタマジャクシ期」。この時期は無邪気に何かに没頭し、外界と深く親しむことが重要です。それが9歳を過ぎた「カエル期」に、本質を探る力となって花開きます。

6歳以前の幼児期であれば、なおさらです。「夢中体験」を増やし、その中で言葉に触れさせていきましょう。

○トラブルはチャンスなり

6歳までは、気配りをしたり空気を読んだりする必要はありません。心の向くまま、のびのびと好きなことをさせましょう。その結果、もしも友だちとトラブルを起こしたときは、むしろ社会性を身につけるチャンスです。

「なぜこうなったと思う?」「どうしたらいいと思う?」と本人に考えさせましょう。

○男の子と女の子の違い

男の子と女の子の違いについても知っておき、それぞれの特徴に合わせて上手に刺激しましょう。男の子は概して勝負ごとが好きで、マニア度も高め。遊びには競争の要素を入れ、収集癖の邪魔をしないことが大事です。

一方、女の子は空想好き。バカにしたりせず、「それでどうなったの?」と、どんどん語らせましょう。

語彙を増やすために語彙の数にこだわらない

二人の子ども

子どもの語彙を増やすには、のびのびと好きなことをさせるのが一番です。就学前から机の前に座らせて文字を教え込んだり、「この言葉の意味は?」とテストしたり……。これでは子どももウンザリでしょう。

テーマと矛盾するように聞こえるかもしれませんが、6歳までは語彙が少なくてもいいのです。どんなジャンルであれ、好きなことに没頭させておくと、やがてグングンと語彙を増やすようになりますから、幼児期の親は、おおらかに構えることが大切です。

また、親が正確な言葉づかいをすることと、子どもの疑問には親も身を乗り出して関心を示すことも重要です。「知ること」の楽しさを、子どもは親の姿から学びます。

ですから、親自身が好奇心をもって自分の生活を楽しむことも、子どもの成長の強い後押しとなるでしょう。

高濱正伸

高濱正伸

1959年、熊本県生まれ。東京大学大学院修士課程卒業。93年に、「国語力」「数理的思考力」に加え「野外の体験教室」を指導の柱とする学習教室「花まる学習会」を設立。算数オリンピック問題作成委員・決勝大会総合解説員。