「東大生の小学生時代の習い事」で圧倒的1位! 水泳で身につく5つの能力とは?

菅原優

子どもが得られる能力③「集中力」

見逃せないのが、運動と「集中力」の関係です。

スポーツ、芸術、勉強、仕事など人生のあらゆる場面で要求される能力は、記憶力、思考力、行動力、想像力などです。そして、これらの能力を100%発揮するためには、集中力という土台が必要になります。水泳などの運動を行うと、脳内にドーパミンが分泌され、集中力が高まります。

ドーパミンが分泌されると、感覚が研ぎ澄まされ、精神が穏やかになります。また、頭がクリアになり、物事に集中しやすい状態になります。その状態は数時間続くと言われています。逆にドーパミンが不足すると、周囲の音や動きに注意力を奪われたり、心が乱れやすく神経質になります。

では、具体的に、どのくらいの運動をすると、集中力が高まるのでしょうか?

水泳で言うと、少し疲れるくらいの運動強度で、10分から20分間クロールや平泳ぎをするといいでしょう。自宅にいる場合は10分間縄跳びをするだけでも、集中力アップに効果があるはずです。

細かくは挙げませんが、その他多くの研究でも、運動には集中力を高める効果があると実証されています。

子どもが得られる能力➃「メタ認知力」

水泳で「メタ認知力」が伸ばせる一番の理由は、水中では自分の体が目によって確認できないからです。

メタ認知は、「高い視点から自分を認知すること」や「自分の頭の中で働くもう一人の自分」と言われています。メタ認知力が高くなれば、いつでも冷静に行動できたり、周りに配慮した柔軟な対応ができるようになります。

水泳では「自分の目で自分を確認すること」が、他のスポーツより圧倒的に難しく、泳いでいるときに目視できるのは、腕や指先くらいです。しかし、水泳では俯瞰的な視点をもつ必要があります。キレイに泳ぐためには、自分がどのように泳いでいるかをイメージしながら泳ぐ必要があるので、自分を「メタ的」に見る習慣がつきます。

ダンスなどは鏡に自分が映るので、自分で自分を見ることができますが、クロールを泳ぎながら自分の腕の動かし方やバタ足を見ることはできません。自分の泳いでいる姿をビデオで撮影し見てみたら、自分のイメージとの違いにビックリするはずです。

また水泳では、身体的な部分だけでなく、精神的な部分もメタ認知できるようになります。

水泳で自分が出したタイムには、陸上100m走のような追い風や向かい風、サッカーのレフェリー判断のような運の要素が入り込む隙がありません。出た結果は全て自分に向けられます。

そのため、良い結果を出すため自分をより客観的に理解することが求められます。自分が最高のパフォーマンスを発揮するためには、自分をどのようにコントロールすればいいか、と常に考えるクセがついてきます。

子どもが得られる能力➄「体力」

全身運動である水泳を続ければ、「身体的な体力」はもちろんのこと、「精神的な体力」も鍛えることができます。

水泳は孤独なスポーツです。良くも悪くも「何m泳げたか」「何秒で泳げたか」といった数字による客観的な結果を突きつけられます。

スイミングスクールや水泳の授業では、帽子の色やワッペンなどで、習熟度が見える化されています。小学校の体育の授業で、自分の実力が見える化され、クラス分けされるスポーツは水泳の他ないはずです。

これにより、「結果を受け入れる精神力」「結果を出そうと取り組む精神力」が成長していきます。

私が水泳を教えていると、多くの子どもは自分自身でその結果を受け止めようとします。なので、結果が良くないときには、そっとしてあげておいてください。逆に、強く伝えようとすればするほど、子どもはその結果から目を逸らそうとします。

また、水泳をきっかけに自分の今ある状況を、他者責任ではなく自己責任で考えられるようになります。私が東京学芸大学のある教授と話していたとき「水泳部には、自分の意見をもち、自立している学生が多い」と言われていました。これは、水泳によって自責で考える姿勢が備わったからだと、と私は考えています。

以上が、水泳で得られる人生において大切な5つの能力です。

水泳には全てのスポーツの基礎が詰まっています。そのため、年中~小学3年生にかけて水泳を習っておくと、その後どんなスポーツを選択するにしても水泳の経験が活かせるのもメリットです。習い事に迷っているなら、ぜひ、水泳を検討してみてください。

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