「中学受験の算数」の広すぎる範囲にどう対応した? プロ講師が教える効率的な学習法

州崎真弘

学習内容の「見通し」を立てよう

・学ぶ内容の概要がつかめると、習得率が上がる

目次の活用法は他にもあります。それは事前に学ぶ内容を確認し、見通しを立てるときに役立ちます。例えば、「文章題の過不足算」は「つるかめ算」とよく似た考え方をします。

そこで僕は生徒には「次回の過不足算もつるかめ算と同じグループだね」と予告し、生徒が事前に学ぶ単元をイメージしやすくします。一定の見通しが立つことで、生徒も楽になりますし、学習の手がかりを得ることができます。

ここでは頻出の『速さ』について見ておきます。『速さ』は『図形』の次に時間がかかる単元で、授業は1回や2回で終わりません。1回の授業時間が比較的多く取れる塾でも、1ヶ月(5回)は優にかかります。

それでも、率直に言って5回で教え切ることは無理なのです。受験で必要な『速さ』のテーマは、次のように多岐に渡るからです。

ある塾の5年生のテキスト目次は次の通りです。

「1. 速さの基本・速さと比」
「2. 旅人算」
「3. 通過算」
「4. 流水算」
「5. 時計算・周回算・角速度」
「6. ダイヤグラム(速さのグラフ)」
「7. 点の移動」
「8. 仕事算(帰一算)」
「9. ニュートン算」

あくまで一例ですが、おおかたの並びは、『速さの基本』と『比』から始まり、旅人、通過、流水、時計、グラフが来て、最後に、仕事・ニュートン算になります。

『速さ』のメインは最初の6つです。7つ目は、図形がらみなので『図形』で登場することもあります。8、9つ目を『速さ』に入れるのかどうかは意見が分かれるのですが、『比』を使って解くことが多いので個人的には『速さ』からは外して説明したい内容です。

『速さ』で特に大事なのは、旅人・通過・流水・時計の大きく4つをしっかり押さえておくということです。ただでさえ『速さ』は難問が多く複雑なものも多いので、全体像がわからないまま授業を受けてしまうと、理解が甘くなってしまいます。

中学受験は算数で受かる(すばる舎)
中学受験をするために、塾通いをしているものの、勉強量の多さに圧倒され、宿題も手つかず、復習も中途半端で知識が定着しないお子さん向けに、効率的で成績が伸びる学び方を指南。受験の要である「算数」の学び方を軸に、家庭での勉強法や塾の活用法、過去問の解き方など、中学受験のプロが「受かる勉強」のコツを具体的に教えます。