皮膚科医が「ニキビ治療には親のサポートも大切」と語る理由

吉澤恵理・花房崇明

体の成長に伴い、子供の肌は大きく変化します。その中でも『ニキビ』は、多くの子供が経験するトラブルと言えるでしょう。多くの子供たちが、自分のニキビ肌について「恥ずかしい」「自信が持てない」と悩んでいます。

前回まで、ニキビと治療について大阪府豊中市の千里中央花ふさ皮ふ科院長・花房崇明医師にお話を伺ってきました。引き続き今回は、「男女のニキビの違い」「ニキビに悩む我が子のために親が知っておくべきこと」について詳しく伺っていきます。

ニキビは男子の方が出来やすい

医師の花房崇明(はなふさ・たかあき)さん

【吉澤】私の子供たちは、3男1女ですが、思春期のころは、息子達の方がニキビに悩みました。みんな成人した現在も、現在もニキビケアは欠かせない状態で、特に三男はニキビができやすい傾向にあります。一方の娘は、ニキビができたことはありますが、悩むほどではありませんでした。男女のニキビには違いがあるのでしょうか?

【花房】毛穴が詰まり、皮脂が過剰になりニキビができるといった皮膚で起きている状況は男女で同じですが、肌がそういった状況になる原因は男女で異なる点もあります。まず、皮脂の過剰分泌は、圧倒的に男性の方が起きやすい傾向にあります。

【花房】男性ホルモンが多く分泌されると皮脂分泌が増えニキビができやすい肌になります。男女ともに男性ホルモンは分泌されますが、男の子の場合は、男性ホルモン優位ですので女の子よりニキビができやすい傾向にあり、思春期に男性ホルモンの分泌が急激に増えるため、中学〜高校時代にニキビに悩む人が多いと思います。

また、男の子の場合、スキンケアなどが疎かになる傾向にあり、ニキビができやすい肌を正しくケアできないこともニキビが悪化し長引く原因になると思います。

【吉澤】男の子が男性ホルモンの影響を受けやすいことがわかりましたが、女の子の場合では、どういった原因があるのでしょうか?

【花房】女の子の場合も、思春期には男性ホルモンの分泌が活発になります。さらに、女性ホルモンの1つ、黄体ホルモンは男性ホルモンと同様に、皮脂を増やし、ニキビを悪化させる原因となります。

黄体ホルモンは、月経周期に関連しており、排卵後から次の生理までの期間は、黄体ホルモンが増えるため、ニキビが悪化する時期ともいえます。また、月経周期の乱れなどもニキビに影響することもあります。

ホルモン変化の影響を最小限にするには?

【吉澤】男女ともに思春期のホルモン変化がニキビができやすい肌の状態を作ってしまうということですね。では、そのホルモン変化の影響を最小限にする対策はあるのでしょうか?

【花房】ニキビ予防には、健康な肌作りとニキビの初期段階で治療を開始することが重要です。前回の記事でお話ししたような正しい洗顔、保湿が基本です。しかし、思春期のお子様は、美容についての知識も乏しいと思いますのでご家族がアドバイスしてあげることが良いと思います。

大手製薬会社がニキビについて行った調査で、お子様はニキビがあることに対して「恥ずかしい(37.8%)」「自分に自信が持てない(35.2%)」「気持ちが落ち込み、イライラする(21.1%)」と感じると回答していますが、保護者は「特に心配していることはない(54.2%)」と回答しており、お子さんと保護者との間でニキビに対する捉え方に大きなギャップがあると考えます。

【吉澤】確かに、私も子供に相談されるまで『ニキビは若さのシンボル』と考えていました。子供から『ニキビで悩んでいる』と相談されて、慌てて皮膚科へ連れて行ったことを覚えています。親世代のニキビ治療と今のニキビ治療が大きく変化していることも意識の違いにあるのかもしれません。ニキビ対策の1つとして、親子でニキビについて話すことも必要ですね。

【花房】そうですね、ニキビがあることでお子様が大きなコンプレックスを抱えているケースもありますので、家庭でもニキビや肌ケアについて話す機会を持って欲しいですね。今は、保険診療でニキビは治療できますので、放置せず、お近くの皮膚科を受診して欲しいと思います。

【吉澤】3回に渡りニキビについて花房先生に解説していただきました。この記事がお子様とニキビについて話すきっかけになれば幸いです。