挑発的な態度にイライラ…「反抗期の子に厳しく接する親」が誤解していること
気分のムラが多い、宿題をやらずにゲーム依存、挑発するような言葉遣い…「自己中な態度」をとる子どもに、どうしてもイライラしてしまう方は多いはず。何とか言うことをきかせようと、キツく命令口調で接している親御さんも。反抗期の子どもと自然にコミュニケーションをとるにはどうしたら良いのでしょうか。親野智可等さんが解説します。
※本稿は親野智可等[著]ぴよととなつき[イラスト・マンガ]『反抗期まるごと解決BOOK』(日東書院本社)から一部抜粋・編集したものです
親野智可等(おやの ちから)
教育評論家。本名、杉山桂一。長年の教師経験をもとに、子育て、しつけ、親子関係、勉強法、学力向上、家庭教育について具体的に提案。人気マンガ「ドラゴン桜」の指南役としても著名。Twitter、Instagram、YouTube、Blog、メールマガジンなどで発信中。
ぴよとと なつき
滋賀県出身のイラストレーター、まんが家。夫と息子2人と過ごす日々を育児マンガにしてSNSにて投稿中。最近オンラインで筋トレと英会話を始めました!ブログ「ピヨトト家のひとコマ。」voicy「近所のピヨトトさん」
親のことナメてる?
「玄関の靴は揃えて」「提出物の紙見せて」と伝えても一向に行動してくれません。同じことを何度も言うハメになるのでどんどん険悪な雰囲気になってしまいます。しつこく言うと「は?」とこちらを小バカにするような目で睨んでくることもあり、イラッとします。ナメられているように感じることも。
こちらが冷静になるべきなのは分かっていますが、あまりに毎日のことでストレスが溜まります。どう対処するのがベストですか?
(中学2年女子の母)
子どもが受け入れやすい言い方をしてみよう
反抗的の子どもにこちらの希望や都合を聞き入れてもらうのは骨が折れますよね。そんなときは次の2つのやり方が有効です。
①お尋ね型
・○○を頼んでいい?
・塾で疲れてるところ悪いんだけど、○○してもらえるかな?
・○○してくれると助かるんだけど、今できる?
②相談型
・〇〇したいんだけど、どうしたらいいと思う?
・ 時間がなくて〇〇ができそうにないんだけど、どんなやり方がいいと思う?
など、子どもが「自分に選択権があると感じられる」依頼のしかたをしてみましょう。「〇〇してよ」などの強圧的な言い方だと素直に聞けない子もいるものです。
さて、このように提案すると「ご機嫌取りみたいな言い方」「結局子どもに媚びろってこと?」「親なんだからバシッと強く言って子どもに分からせればいいじゃないか」という意見が出るときがあります。この深層心理にあるものは何でしょう。
「子どもにナメられてたまるか」という気持ちです。
お伺いを立てるような言い方や相談形式のコミュニケーションを取ることで、自分が子どもに負けたような気持ちになるのです。さらに言えば、その苛立ちの原因は自分に対して自信が持てていないところにあります。
つまり、子どもに上から目線で言うことで相対的に自分を上位に来させているわけです。無意識に「子どもには負けられない。立場が上であると分からせたい」という認識にとらわれているのです。大人であればそれに気づいていることが大事です。
そのまま気づかないでいたらどうなるでしょう。子どもに対してイライラをぶつけ、ひどい言葉を使い続けることになります。そして、親子関係が崩壊した後でもそれを子どものせいにして済ませてしまいます。
自分の自我の満足より、親の言葉が子どもに与える影響を優先することが大事です。特に思春期・反抗期の子どもには上から目線の命令口調はうまくいきません。むしろ逆効果と知っておきましょう。