押切もえさんの子育てを変えた「幼児教室の先生のひとこと」

押切もえ
2023.09.20 14:41 2023.09.27 11:50

押切もえ

親子3人ともが、ハッピーで安心して過ごせる家庭でありたいと願う押切もえさん。お仕事で忙しい中でも、子どもに優しいパパに代わって、しつけもきちんとこなしているそう。押切さんが子育てで大切にしていることとは? お話をうかがいました。(取材・文:林加愛)

※本稿は、『のびのび子育て』2021年2月号より転載したものです

押切もえ(モデル)

10代で読者モデルとして活動を始め、「CanCam」や「AneCan」の専属モデルとして大活躍。2016年にプロ野球選手の涌井秀章さんと結婚。現在、1児の母。主な著書に、『浅き夢見し』(小学館)などがある。

気持ちに寄り添うと、安心が芽生える

手をつなぐ親子※写真はイメージです

2歳8カ月になる息子は、本当にのびのびした性格です。幼児教室などで親子が離れなければいけないときも、「じゃあね!」と元気にみんなのところへ行くのですが、物心ついたころは、誰かに預けようとすると、「ママがいい〜」と泣き出してしまうこともしばしばでした。

そのとき心がけたのは、一緒にいる時間にしっかり愛情を注ぐこと。離れる時間が多くなる日の前日には、とりわけふんだんに、「明日は頑張ろうね」「近くにいるからね」と声をかけたり、たくさん抱きしめたり。もう寂しがらなくなった今も、この習慣は続いています。

思い切り甘えさせることは、「安心」につながるように思うのです。

とはいえ、「甘やかし」とは混同しないよう気をつけたいところ。その境界線は難しいですが……危険なことや、人を傷つけることをしたのに叱らなければ、明らかに甘やかしですね。

対して、こちらが家事で忙しいときに、少し寂しそう、という場合ならば「甘えてもらう」ことにしています。一度手を止め、話を聞いてハグしたら、気持ちが落ち着く様子が確かに伝わってきます。何を伝えるにしても、頭ごなしは絶対に避けています。

遊ぶ子※写真はイメージです

これは、幼児教室で学んだことですが、息子が、ほかのみんなが集まっているのに、1人で遊び続けていて、私が「早くおいで〜」と呼び掛けても効果ナシ。困ったな……と思ったところに、先生がひとこと。「こういうときは、寄り添ったほうがいいんですよ」と。

そこで、そばに寄って「そのおもちゃ、楽しいの? ああ、本当だね!」といったん共感し、その上で「でも、あっちも面白いよ!」と誘ってみると、先生のおっしゃった通り、素直に応じてくれました。子どもの気持ちに寄り添うことが、のびやかさを育てるのだ、と発見しました。

そしておそらく、私にとっても「違う考え」を認める学びにつながることだと思います。どんなに小さな子どもでも、決して親の所有物ではなく、ひとつの人格があります。1人の人間として、その考えに耳を傾け、尊重することは忘れないようにしたいと思っています。

ですから、親から見て「良くないな」と思うことでも、まずは「なぜそうしたのか」を聞きます。その上で、禁止するときは理由も説明します。「今は食べる時間だから遊びはお休み」とか、「さっきおやつ食べたから、今はナシよ」というふうに。

2歳でも、理を説けば意外と理解できるようです。「さっきママと一緒に食べたから、今はおやつ食べないんだ」なんて、解説してくれることも。この間は、食事中にうっかり携帯電話を触ったら「ママ、今はそのお時間じゃないよ」と注意されてしまいました(笑)。ごめんなさい! と謝りつつ、「頼もしいな」と思いましたね。

多様な個性を尊重する人となりを育てたい

手※写真はイメージです

「気持ちに寄り添う子育て」は、夫(プロ野球選手の涌井秀章さん)も同じです。というより、私が夫を見習っている面が多々あります。彼は性格がとにかく穏やかで、最後に怒ったのは中学生のときだそう(笑)。怒ることでは何事も解決しない、という考え方に、私も大いに賛成です。

そこから、「きつく叱るより、共感した上で優しく説明する」という我が家のスタイルが定まったように思います。夫はもともと大の子ども好きで、本当に子煩悩。試合前日は右腕を使わないよう「左腕で抱っこする」と自分で言っておきながら、いつのまにか右腕を使っていて、あわてて交代、といった調子です。

息子もパパが大好きです。遠征やキャンプで家にいないことが多いぶん、帰ってきたときのうれしさは格別なようで、さっきご飯を済ませたはずが、食卓で彼の隣に座って、「もう一度食べる!」なんて言っています。

夫の遠征中には、息子の様子をこまめに知らせています。動画を撮って送ると、何かしら気づいたことを言ってくれます。「言葉が増えたなあ」「○○ができるようになったね」など。

そうした言葉は、必ず本人に伝えるようにして、息子がそれで喜んだら、それもパパへ伝言。2人の橋渡し役も、私の大事な役目です。

青空の下で駆けていく子どもたち
※写真はイメージです

こうした両親の愛情のなかで、優しく豊かな心が育てばいいな、と思います。来年は幼稚園入園、今までよりたくさんの人と接するようになりますが、「いろいろな人がいて、みんな大事なんだよ」と伝えたいですね。

違う個性を認めて、寄り添う。

――私たちがそうしているように、息子もそうあってほしい。社会に出ても、みんなと分け隔てなく向き合える人になってほしい――夫も私も、そう願っています。