実は相手を傷つけている? 小学生の「友人関係」に影響するNGワード

齋藤孝
2023.10.05 21:38 2023.10.25 17:00

小学生の男の子と女の子

何となく発した言葉だったのに、友達を傷つけたり、怒らせたりしているかもしれません。「そんなつもりじゃなかったのに…」をなくすには、語彙力を伸ばすことがとても大切です。小学生の人間関係を円滑にするための言葉遣いを、齋藤孝さんが紹介します。

※本稿は齋藤孝著『「伝える力」が伸びる! 12歳までに知っておきたい語彙力図鑑』(日本能率協会マネジメントセンター)から一部抜粋・編集したものです

齋藤孝(明治大学文学部教授)
1960年静岡県生まれ。専門は教育学、身体論、コミュニケーション論。著書に『語彙力こそが教養である』『小学3年生から始める! こども語彙力1200』(いずれもKADOKAWA)『大人の語彙力ノート』(SBクリエイティブ)『声に出して読みたい日本語』( 草思社)、訳書に『現代語訳 論語』(ちくま新書)など多数。NHK Eテレ「にほんごであそぼ」総合指導。

「真面目だね」は、ほめ言葉?

学校の教室

今は、掃除の時間です。ふざけたり、おしゃべりしたりしている同級生がいるなか、ある友達がなまけずに掃除をしています。「えらいなぁ」と感じた気持ちを伝えるためには、どう言えばいいでしょう?

【ついつい言ってしまうかも!?】
「超真面目だね」

【ポジティブ変換】
「みんなのために掃除する真面目で責任感の強いところ、尊敬するよ」

・解説
「真面目」は、ひたむきで真心がある様子を意味するけれど、「いい子ぶる」といった悪口の意味合いを含ませて使う場合もあるよね。ほめ言葉だとわかるように伝えよう!

テストの点数が悪くて落ち込む友達に

勉強する子

学校からの帰り道、その日に返された漢字テストの話になりました。「100 点だったよ」「私わたしも!」「簡単だったね」と盛り上がるなか、ひとりの友達が「点数が悪かった」としょんぼりしています。

【ついつい言ってしまうかも!?】
次はちゃんとしなよ

【ポジティブ変換】
「次のテストもあるからお互いがんばろうね」
「次のテストもあるから気持ちを切りかえていこう!」

「次は」という言い方をすると、今回はがんばっていないようにも聞こえるよね。友達のがんばりを認めて、応援している気持ちが伝わるような言葉がかけられるといいね。

知っていることが話題になった時

本を読む小学生

登校中、友達が「あのアニメが映画化されるんだって!」と話しかけてきました。映画化のニュースは、すでに知っていたキミ。「自分も知ってるよ」と伝えたくて、思わず出た言葉は……。

【ついつい言ってしまうかも!?】
「そんなの知ってるよ」

【ポジティブ変換】
「そうらしいね!」
「私も昨日知ったよ。楽しみだよね」

話しかけて「そんなの知ってるよ」と言われたら、会話を続けにくいし悲しいよね。感想を言ったり、「知ってる」以外の言葉を使ったりすると、そのあとの会話もはずむよ。

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「感情を表現する言葉」に焦点を絞って語彙をあつめて分類。齋藤先生のわかりやすい解説とイラストで、「こういうときはこんな表現が使えるんだ! 」と楽しく自然と語彙力が身につく1冊です。

齋藤孝

齋藤孝

1960年、静岡県生まれ。東京大学法学部卒業後、同大学大学院教育学研究科博士課程を経て、明治大学文学部教授。専門は教育学、身体論、コミュニケーション論。