子どもが反省しない原因にも…「罰を与える叱り方」がNGな4つの理由

島村華子

なかなかゲームをやめない子どもからゲーム機を取り上げたり、忙しい時に限って騒ぐ子どもを無視したり…。子どもに罰を与えるしつけは、昔から多くの親が実践してきました。しかし、罰を与える叱り方は問題も孕んでいるのです。モンテッソーリ&レッジョ・エミリア教育研究者の島村華子さんが解説します。

※本稿は、島村華子著『自分でできる子に育つ ほめ方 叱り方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

罰を与える叱り方がNGな4つの理由

子どもたちに罰を与える目的は、望ましくない行動をやめさせることです。子どもに肉体的あるいは精神的な苦痛を与えることで教訓を垂れるという、いわゆる伝統的な子育て方法です。

体罰だけでなく、口頭による罰(例:怒鳴る)、物理的な罰(例:物を取り上げる)、行動による罰(例:無視)なども、罰を与えることに含まれます。

しかし、子育てにおける罰には4つの大きな問題があります。

①より攻撃的、反発的な態度を生みだす
②力を使った問題解決方法が正当化される
③親子関係にヒビが入る
④罰を与えても反省を促さない

①より攻撃的、反発的な態度を生みだす
罰を受けている子どもは、逃げ場がなく、自分の力ではどうすることもできません。さらに自分に罰を与える相手(親)に対して怒りを覚えます。その結果、このフラストレーションをより反抗的な行動で表現するのです。

そのため、罰は子どもの攻撃的な行動を誘発し、親がさらに罰を与えることを繰り返すという負の連鎖に陥りやすくなります。

②力を使った問題解決方法が正当化される
つまり、罰を使った子育ては、暴力や圧力で問題が解決できるというメッセージを子どもたちに送っているのです。双方の意見や想いを尊重した話し合いなしに、一方的に力を行使する方法が「模範」であった子どもは、大人になったときに平和的解決を率先して取り入れるでしょうか?

このような子育てを経験した子どもは、自身が親になったときも同様に権力を行使する専制的な接し方をすることが多く、罰の連鎖は世代を超えることもわかっています。



③親子関係にヒビが入る
親が子どもに罰を与えると、子どもにとっては親を自分の味方だと感じることが難しくなります。

子どもにとっていちばん頼りになる存在で、いちばん愛してほしい親が急に自分を無視したり、「いい子にしていないと置いていくからね!」「門限までに帰ってこないなら、今月のお小遣いはあげないからね」などと脅したりする罰というのは、子どもの心を混乱させる行為です。

そして、親が信頼できない相手だという想いが強くなれば、子どもは親に対して心を閉ざし、親子のつながりに傷がつくリスクがあるのです。

④罰を与えても反省を促さない
まず、罰を受けた子どもは、次は罰をいかに逃れるかということに意識が集中するため、自分の行動のどこに問題があったのかを考えません。

さらに、何かを子どもから取り上げても本人は気にしなかったり、タイムアウト(決められた場所で気もちを落ち着けるための時間をとること)として部屋に送りこんでも反省の素振りも見せずに普通に過ごしていたりという経験はありませんか。

話し合いや説明なしに一方的に罰を与えられたとしても、子どもにとってはいわゆる「問題行為」と罰の間の関係性が明確ではないため、反省を促さないのです。