「待って待ってまだ開けないで!」用足し中の母を襲う、子連れトイレでの試練の数々
公衆トイレでの戦い
家の中でオープンにされるトイレはまだいいが、問題は公衆トイレだ。
奴らは公衆トイレにおいても容赦なく我々の用足しを公開しようとしてくる。
幼児期は親子で一緒の個室に入ることが多いため、子どもが用を足した後に自分も用を足すのだが、大抵開けられてしまったりする。
「待って待って! まだ開けないで!!」
そんな母親のひっ迫した声がトイレの個室から聞こえてきたことはないだろうか。
こういう時は大体お母さんと2、3歳児の組み合わせである。
公衆の面前で自分が便器に座っている姿をさらし、かつ、目の前にいる無邪気な子どもが邪魔をしてすぐに閉められないことほど屈辱的なことはないだろう。
とはいえ、個室トイレは便器に座っていても、手を伸ばせばドアを開けられてしまうのを阻止することができるからまだ良いが、問題はファミリートイレのような大きな個室だ。
ベビーカーごと入れるし、我が家のように子どもが何人いても全員で入れるのでかなり助かるのだが、かえってその広さが仇となる。
なぜって? 便器に座った状態ではどうやってもドアに手が届かないのだ。
あれはまだ私が1人目育児に奮闘し、よもや子どもがトイレの扉を開けるとは想像すらしなかった長男が2歳の頃に、2人でファミリートイレに入った時のこと。
私は広い個室の中でちょろちょろ動き回る2歳の長男をよそに便器に座り用を足していた。
すると、彼がおもむろに「開く」ボタンを押したのだ。
ゴゴゴゴゴゴゴゴーッ……。
「え? あ? ええ? ちょ! ちょちょちょちょ――!!」
ゆっくりと、しかし確実に開いていく自動ドアを、便器に座りながら眺めることしかできないおばさん。
開ききったドアの前を通りかかったおじさんと、便器に座ったおばさんは確実に目があった。
いかに子どもの気をそらすか
以来、私はファミリートイレで用を足す際には必ず息子の行動を注視し、ドアの開閉ボタンや鍵を触ろうもんなら、
「ホワァオ! だめだめだめ!」
「ちょ! こっちこっちほらほらほらぁ!!」
「こっちに面白い物あるよぉ!」
とさまざまな言葉で気をそらしたり、声で威嚇したりしてドアの前から遠ざけるようにしている。
それにしたってあんたたち、母が便器に座っている姿を公衆にさらすミッションを命じられたスパイかなんかなの!?
そう思えるほど一瞬の隙をついて奴らはしつこく開けようとしてくるのだ。
でも、そもそも考えてみればファミリートイレにはありとあらゆるボタンがあり、三度の飯よりボタンが好きな奴らにとっては格好の押しスポットではないか。
そりゃ、押すわ。
開くボタンだけではない。
彼らはトイレに必ずある非常ボタンも虎視眈々と狙っているのだ。
「ピーピーピー!」
係の人が駆けつけて下さったこともある。
「すみません! 子どもが押しちゃいました!」
と、扉越しに何度謝ったかわからない。
いっそ非常ボタンの下に、「子どもが押しちゃいました。すみませんボタン」を設置してほしいと思うのは私だけだろうか。
うんこすら落ち着いてできないという、まさに子育て中の母たちの不自由や、どこまでも1 人になれないという世界観がトイレ1 つに表れているかのよう。ねぇ、そういえばさ、子どもが便器に手をついたままウォシュレットのボタンを押しちゃって、頭上から水を浴びたことある? 私は何回もあるよ。
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