心理学から考える「勉強のモチベーションが低い子」を変える親の態度

竹内エリカ
2024.04.02 15:14 2024.04.15 12:00

テストの点数が悪かったとき

勉強する男の子

×平均点より低いじゃない
〇前回より10点もよくなったね


・他人と比べない。比べるべきは過去の子どもの姿
隣の子は同じ月齢なのにうちの子より早く歩いたとか、同じピアノ教室に通っているのにお友達の方が先の課題に進んでいるとか、子育てをしているとつい自分の子の成長をほかの子と比べてしまうものです。比べるのはよくない……。それはわかっているけれど、意識しないのはなかなか難しいですね。

以前わが子が、学校のテストで40点をとってきました。その点数を見た瞬間、さすがに「低い!」と感じましたが、もしかしたらテスト自体が難しかったのかもしれないと思い、「平均点は何点だったの?」と尋ねました。

すると「いつも人と比べちゃいけないって言ってるじゃん。何で聞くの?」と切り返されました。まさにその通りですね。

幸せのパラドックスという考え方があります。幸せの感じ方には、「相対的幸福感」と「絶対的幸福感」という2種類があるというものです。

伏せる子どもを見つめる母親

相対的幸福感とは、人よりも勉強ができるとか運動ができるといった、他人と比べて得られる幸福感のこと。絶対的幸福感とは、家族に愛されている、大切な仲間がいる、夢中になれることがあるなど、自分自身の中から得られる幸福感のことです。

相対的幸福感は環境によって変化するけれども、絶対的幸福感は安定しているのです。他人と比べて得た優越感よりも、自分自身の中で得られた満足感の方がずっと幸福を感じやすいということです。

先ほどのテストの話に戻りますが、仮に平均点が60点だったとします。平均点より低いので、他人と比べるとちょっと悪いかもしれません。

でも、前回のテストの点数が30点だとしたら、確実によくなっていますね。30点が40点になったのなら、次は50点になるはず、と考えるのです。他人や平均値ではなく、過去の子どもと比べてどのくらい成長しているのかを見てあげるのです。

子どもは必ず成長しているもの。小さな成長を応援してあげてください。そして親も同じかもしれません。自分の子育てに自信が持てないときがあるかもしれないけど、きっと一日一日親として成長しているはずです。

勉強する子ども

0〜2歳への声かけ

子育てがはじまったばかりで、成長の様子が特に気になる時期ですね。ほかの子と比べてなかなか歩かない、話さないということがあるかもしれませんが、本当に子どもの成長は人それぞれ。「重たくなってきたね」「キックの力が強くなったね」と声をかけ、できていることに目を向けるようにしましょう。

3〜6歳への声かけ

保育園や幼稚園で人と関わることが増える頃。うちの子だけがモジモジして、人の輪に入っていけないこともあるかもしれません。

こういう子は人の輪に入れないのではなく、入るまでに勇気が必要だったり時間が必要だったりするもの。とにかく待ってあげて、「大丈夫だよ」「ママ・パパがそばにいるよ」と声をかけて見守りましょう。変化を見ながら寄り添ってあげてください。

7〜12歳への声かけ

冒頭でお話ししたテストの例の場合。「前回より1.25倍も伸びたね」「10点も上がったじゃん」のように、お母さんがそれを具体的な数字入りで言葉にしてあげるといいです。

子ども自身も、過去の自分と比べてよくなっていれば、成長している実感を持てます。テストの点数だけじゃなく、普段の勉強で「勉強時間が10分延びたね」と言ってあげるのもいいですね。

 

竹内エリカ

竹内エリカ

幼児教育者。淑徳短期大学非常勤講師。お茶の水女子大学大学院人文科学研究科修士課程修了。20年にわたり、子どもの心理、教育、育成について研究。2児の母。

関連書籍

心理学に基づいた 0歳から12歳 やる気のない子が一気に変わる「すごい一言」の画像1

心理学に基づいた 0歳から12歳 やる気のない子が一気に変わる「すごい一言」(KADOKAWA)
子どもの才能を伸ばすにはなにが必要? お母さんお父さんの考え方を押しつけすぎるとほとんどがうまくいきません。こどもにはその年齢によって成長する力があります。この本では、子の特性について心理学で証明されている効果を例に、子どもに対する接し方を具体的な声がけを含めてまとめています。