子どもに「宿題をChatGPTでやる」と言われたら? 親が知っておくべきAIの基本

⾕和樹(監修),TOSS AI活⽤教育研究会(編)
2024.06.14 08:30 2024.06.14 08:25

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子どもがAIに宿題をやらせていたら、親はどう対処すべきでしょうか? 「AIの使用は一切禁止すべき」と考える方も多いでしょう。

しかし、教育の現場では子どもにAIの使用を禁止するのでなく、正しく理解して活用することを推進する動きがあります。『9歳から知っておきたい AIを味方につける方法』(マイクロマガジン社
)は親子や教師がAIへの理解を助けることを目的とした書籍です。本記事では「子どもたちがどうAIを使うべきか」について示した同書の一部を公開いたします。

※本稿は、『9歳から知っておきたい AIを味方につける方法』TOSS AI活⽤教育研究会 (編集), ⾕和樹 (監修), 吉岡味二番 (イラスト),(マイクロマガジン社)から一部抜粋・編集したものです。

AIと人間が役割分担する社会

タブレットに熱中する子ども

この記事の画像(3枚)

私たちの生活を見てみると、もうさまざまな場面でAIが活用されていることが分かります。例えば、お掃除ロボット。みなさんの家にもあるかもしれませんね。人間の代わりに家の掃除をします。掃除をする手間がはぶけ、家族だんらんの時間や自分の趣味に時間を使うことができます。

お掃除ロボットが動かなくなったとしましょう。電源を入れ直しても動きません。

メーカーのホームページを見てみると、問い合わせができます。「急に動かなくなりました」とチャット欄に入力すると、自動的に「〇〇してみてください」というアイデアをいくつも出してくれます。問い合わせ内容に応じて、AIが自動で応答しているんですね。

メーカーの人からすれば、同じような質問に何度も答える手間がはぶけます。その分、他の仕事に時間や労力を使うことができます。

別の例を示しましょう。みなさんは、コンビニで食べ物や文房具などを買ったことがありますよね。コンビニでは、「どれくらいの年齢の人が、いつ、どんなものを買ったか」という記録を集めています。

そのデータを分析して、「この商品をたくさん仕入れよう」「この商品は少なめにしよう」と考えて、お店にならべる商品を決めています。

この作業もAI がやっています。お店の人はAIに任せて、自分は店内を快適にする工夫を考えたり、お客さんにより丁寧に対応したりしています。

このように、今まで人間がやっていた仕事をAIに任せ、時間と労力を節約する。その分、人間は人間にしかできないことをする。このような役割分担が行われるのが、AIとの未来の姿だといえるでしょう。

AIによって、人間の創造性がより発揮される

プログラミングを学ぶ子ども

では、人間にしかできないこととは、なんでしょうか。

まず、新しい夢や目標を描いて、実現していくことです。

街には、車や電車など、さまざまな乗り物が走っています。もし東京から京都へ行くとすれば、新幹線に乗るでしょう。約2時間で到着します。

でも、昔は、新幹線はありませんでした。江戸時代の人の交通手段は徒歩です。東京から京都まで約500km。歩くと2週間ほどかかります。「もっと早く行きたい」という思いを実現して、現在に至っているのです。

また、多くの人がスマートフォンを持っています。みなさんも、友達とメッセージのやりとりをしているかもしれませんね。

昔は、それぞれの家に電話線が引かれ、それにつながれた固定電話があるだけでした。「外にいても電話をしたい」という夢から、携帯電話が開発されました。さらに「インターネットも使いたい」という思いがスマートフォンを生んだわけです。

このように、人間は新しい夢や目標を描き、それを実現してきました。そして、より快適な生活、より過ごしやすい社会を作ってきています。

新しい夢や目標を描くこと、その夢や目標を新しいアイデアで実現すること、これが「人間の創造性」です。

AIは、人間が創造性を発揮するのに必要な「時間」や「エネルギー」も生み出してくれます。

もちろん、人間の創造性そのものを刺激する役割も果たしてくれます。AIによって、人間の創造性がより発揮される社会。これが、AIとの未来のあり方です。

生成AIの使用で注意したいこと

笑顔でタブレットをみる親子

AIはとても素晴らしい能力を持っています。でも、結局のところ、それを使うのは人間です。人間が操縦士なのです。

ですから、人間の知識や考え方、意思決定こそが、最後は大切になります。

単に何かを調べさせたり、単に何かを作らせてそれをそのまま使ったりするのではなく、私たちの思考をより深める道具として使いこなしたいものです。

生成AIは、自分のアイデアに対して、ちょっと違った視点や、ちょっと発展させた内容などを加えてくれます。

次のような使い方ができるといいなと思います。

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1.生成AIに何か答えさせたときには、その回答をうのみにしないで、正確かどうかを調べたり考えたりしてみる。
2.生成AIを使うことが誰かの迷惑になったり、ルール違反になったりしないか、立ち止まって考えてみる。
3.外国語の練習やディベートなど「会話スキル」の技能練習に使う。
4.自分のアイデアと、生成AIが出した内容を比べてみる。
5. 人間の話し合いに「ちょっと違った視点」を付け加えてもらう。
6. 解決しにくい問題について、考えたり分析したりするための視点を出させる。
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学校や家庭で、子どもたちの使用を単に禁止するだけでは何も生まれません。

「自分で考えること」を前提として、「どんな場面でどのように使っていくとよいのか」をみんなで考えていくことが大切です。 

⾕和樹

玉川大学教職大学院教授。北海道札幌市生まれ。神戸大学教育学部初等教育学科卒業。兵庫教育大学修士課程学校教育研究科教科領域教育専攻修了。兵庫県の公立小学校に22年勤務。
TOSS(Teachers’ Organization of Skill Sharing)代表。

9歳から知っておきたい AIを味方につける方法

9歳から知っておきたい AIを味方につける方法(TOSS AI活⽤教育研究会 [編]/⾕和樹 [監修])

「生成AI」の仕組みや長所・短所、正しい使い方を子どもにも分かるように解説し、『どんな場面で、どのように「生成AI」を使うといいのか』が楽しく学べるような入門書。
「生成AI」を使える子と、使えない子のAIリテラシー格差社会がやってくるかも……といわれるこの時代、親子で読んでいただくのはもちろん、学校の先生にもオススメの一冊です。