貯金目標「1000万円」で本当に足りる? FPが教えるライフプランの組み方
「とりあえず1000万円貯めよう」、といった漠然とした金額を貯蓄の目標にしていませんか?
家庭によって、何のために、いつ、いくら必要かは違うもの。適切なライフプランの組み方について、ファイナンシャルプランナーの橋本絵美さんの著書『子ども6人FPが教える お金が貯まる・使える 紙1枚かんたん家計管理』より抜粋してご紹介します。
※本記事は、橋本絵美著『子ども6人FPが教える お金が貯まる・使える 紙1枚かんたん家計管理』(日本実業出版社)より、一部を抜粋編集したものです。
何のために、いつ、いくら必要かを書いて見通す
貯蓄には、目標が大切です。ですが、「1000万円貯めたい!」など、漠然とした目標は避けてください。そもそも1000万円が、あなたの叶えたい未来に必要なのかどうか。それがわからなければ、ゴールに設定する意味がありません。現実的な目標を持つために、これから先の人生に、「何のために」「いつ」「いくら」必要なのか。頭で考えるだけではなく、ライフプラン表に書き出すことから始めましょう。
ライフプラン表とは、この先の人生を1年単位の表にしたもので、図のように家族の年齢をまず書き込みます。年齢を書くと、子どもが何年後に何年生になるのかわかるので、教育費がかかる時期を確認できます。教育費といえば、大学の費用が最も大きいですが、それ以外にも中学や高校の入学時には制服代や教科書代、受験期には塾代などが必要です。
教育費以外にも、たとえば車の買い替えや車検、住宅のリフォーム、エアコンや冷蔵庫の買い替え、海外旅行なども大きな出費です。こうした出費を書き込み、「何年後にいくらぐらい貯蓄が必要か」を考える資料にしましょう。
我が家のプランは、とにかく子どもたちの教育費を用意することです。我が家は、一番上の長男が本人の強い希望で中学受験をし、私立中学に進学しました。下の子はダメとはいえないので、全員、希望すれば中学から私立に通わせられる教育費をつくることを目標にしています。
具体的には、私立の学費を目安として一人につき月10万円を用意する計画です。これを、私の収入と資産運用でまかなうつもりでいます。夫の収入は公立進学用、私の頑張り次第(仕事と資産運用)で、子どもたちが私立に進学できる……というわけです。
我が家は子どもの年齢が2歳ずつ離れていますので、全員私立中学に進学した場合、2年ごとに教育費の支出が月10万円ずつ増えていきます。つまり、収入を毎年、月5万円ずつ上げていかなくてはなりません。
ライフプラン表に書き出したところ、恐ろしいことが判明しました。長男が大学4年になる年は、末っ子が中学1年になるので、もし、全員私立に進学していた場合、年間の学費だけで約1000万円になるのです……。
ですが、私は最初から子どもをたくさん産む予定でいましたので、教育費が莫大にかかることは予想していました。収入も都合よく上がっていくとは限らないので、長男が生まれたときから貯蓄と運用を続けてきたのです。まさに、逆算です。
教育費を貯めるために生活費の節約も、紙1枚やりくり表でかなり鍛えました。老後資金は、教育費さえ乗り越えられたら、自動的に貯まっていくと思います。
今貯めるべき額を割り出す
ライフプラン表を書くことで、「今貯めなければいけない額」もおのずと見えてきます。貯蓄額はゴールから逆算して決めることが大切です。
たとえば、10年後の車の買い替えに300万円必要なら、毎年30万円、単純計算で月2万5000円を車用に貯めていく必要があります。教育費として、15年後に400万円つくりたいなら月約2.2万円。10年しかないなら、月約3.3万円です。
このように「将来必要になる金額とタイミング」から逆算して「今貯めるべき額」を割り出したら、紙1枚やりくり表の貯蓄額と比較してみます。今の貯蓄額が必要な貯蓄額を満たしていればOKですが、満たしていない場合は、なんらかの見直しが必要ということです。
年に一度は、貯蓄の進捗状況を確認するようにしましょう。
『子ども6人FPが教える お金が貯まる・使える 紙1枚かんたん家計管理』(橋本 絵美 著,日本実業出版社 刊)
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