子どものネット使用、ルールは決めるべき? オンラインリスクを防ぐために考えるべきこと
子どもにとって、インターネットには多くの危険が潜んでいます。オンラインで子どもの安全を守るために知っておきたいことを、児童性被害予防教育の専門家であるキンバリー・キングさんの著書よりご紹介します。
※本稿は、キンバリー・キング著『子どもを守る新常識 性被害 セーフティガイド』(東洋館出版社)から一部抜粋・編集したものです。
親と子のインターネット使用ルールをつくる
子どものオンライン上での安全を守るためには、以下のようなルールを設けておくことが望まれます。それぞれの項目についてお子さんと話し合い、本人に承諾してもらいましょう。
・デバイスは、お父さん/お母さんがいる部屋で使う。別の場所で使うときは、許可を得てから持ち出す
・子どものスマートフォンとタブレットは、夜間はお父さん/お母さんの寝室で管理・充電する
・自分や家族の情報(住んでいる場所、学校、仕事先、予定など)、メッセージ、写真、動画などは、家族以外の誰にも送らない
・プライベートパーツにまつわる写真や動画は、一切撮影しない
・子どものチャット履歴やテキストメッセージ、メール、写真、動画などについて、お父さん/お母さんは、予告なく確認することがある
(保護者の皆さんへのアドバイス:ゴミ箱や直近の削除履歴など、「本人が消した」ものもチェックするようにしてください)
・子どもが使うデバイスやアプリに対しては、ペアレンタルコントロールを設定する
・寝室にはデバイスを持ちこまない
・デバイスやアプリのパスワードは、お父さん/お母さんがすべて把握する
・アプリのダウンロードは、お父さん/お母さんがおこなう
・ポップアップ広告はクリックしない
・たとえ脅迫的なメッセージが送られてきたとしても、オンラインでは決して服を脱がない
・上記に限らず、困ったことは何でも、お父さん/お母さん、あるいは信頼できる大人に速やかに報告・相談する
(保護者の皆さんへのアドバイス:お子さんには「報告したせいで叱られることは決してない」と理解させておきましょう。そして、実際どんな報告を受けることになったとしても、感情的になることなく、冷静に対処してあげてください)
お子さんが成長するにつれ、こうした制限をかけたままにしておくことは難しくなるでしょう。監視されていることを自分への信頼の欠如と感じるようになったり、監視を受けずに友達と個人的な会話をしたい気持ちが強まったりしますし、友達のデバイスを借りたり、安価なプリペイド式スマートフォンを利用したりすることも十分考えられます。
しかし、我が子のオンラインでの動向を把握しておくことは、子どもの安全を守るために親として果たすべき、大切な務めの一つであるはずです。オンライン利用に関するルールが親子の間でしっかりと固まり、お子さん自身の判断を全面的に信頼できるようになるまでは、工夫して制限をつづけてほしいと思います。お子さんとコミュニケーションをとり、制限の必要性をわかってもらいましょう。叱ったり責めたりするのではなく、愛情を持ってサポートしてあげてください。
子どもというものは、間違いを犯すものです。そんな子どもたちが、感情や願望、長じては性的欲求をも、オンラインで表現することが一般的な時代に生きています。一人でオンラインの世界に飛びこんでしまう前に、自らの安全を確保する力、悪いものを直感的に拒否できる力をつけさせておくことが、非常に重要です。お子さんが、安心して間違いを犯しながらそうした力を身につけていけるよう、オンラインでの行動も、普段の生活と同じように見守ってあげてください。
適切なペアレンタルコントロール設定は、お子さんの安全を守る上で非常に重要なものです。しかし、それ以上に重要なことがあります。それは、(これまでも繰り返しお伝えしてきましたが)「からだの安全を守る」ことについて、率直に、正直に、頻繁に話し合える関係性を、お子さんとの間に築いておくことです。皆さんと一緒なら安心できると感じていて、皆さんに愛されサポートされているという実感があり、間違いを犯してしまったとしても頭ごなしに叱られることなく助けてもらえるとわかっているお子さんは、いざ事が起きてしまったときにも、必ず皆さんを頼ってきてくれます。自分では対処しきれない大きな問題に直面してしまったとき、迷わず相談できる人。どんなときも味方でいてくれると、心から信頼できる人。我が子にとってそんな存在でありたいと願っている親は、わたしだけではないはずです。
インターネットは子ども向けに設計されていない
どれほど備えさせたとしても、積極的にグルーミングを仕掛けてくる犯罪者たちを、幼い子どもが自力であしらえるはずはありません。そこを子ども任せにするのは公正でも現実的でもなく、保護者としての責任を放棄するようなものだと心得ておいてください。子どもを守るためには、わたしたち保護者が自らの情報モラルリテラシーと対応力を高めていくことが必要不可欠なのです。
リスクを認識し、ペアレンタルコントロールの設定、セキュリティアプリの導入、知識のアップデートや、子どもたちとの話し合いといった対策を、保護者の側から積極的におこなってください。この件についてお子さんと話し合うときは、オープンで正直な態度で臨み、力を貸して支えていくという姿勢を前面に出して会話するようにしてください。こうした姿勢で接していれば、いざ助けが必要になったとき、お子さんは迷わず皆さんのもとに来てくれるはずです。
お子さんと話す際に、はじめに伝えておいてほしいのは、「インターネットは子ども向けには設計されていない」ということです。ほんのワンクリックで、子どもにはふさわしくないコンテンツが目に入ってしまうこともあります。怖い思いをする可能性を下げるためにも、インターネットは親子で取り決めたルールをきちんと守って使うと約束させてください。
そして、特に具体的に話し合ってほしいのは、ネット上に写真をアップしたり、送信したりすることについてです。お子さんが誰かに頼まれて自分の写真を送ったりしてはいないか、定期的に確認するようにしてください。オンラインで写真を共有することの危険性については、いくら強調してもしすぎるということはありません。一方で、もしもお子さんが誰かに自分の写真を送ってしまっていて、たとえそれがヌード写真だったとしても、その子を責めたり叱ったりはしないであげてほしいと思います。責任はすべて、子どものヌード写真を手に入れた犯人の側にあるからです。
そのような画像を入手した時点で、その人物は児童ポルノ禁止法違反行為の一つ、児童ポルノ所持の罪に問われることになります。性的に露骨なメッセージや画像を送りつける/送るように仕向ける「セクスティング」も、その対象が未成年であった場合、法的に児童性的虐待として分類されます。
いずれにしても、どんな場合も、信頼できる大人に安心して報告してほしいと落ち着いたトーンで言いそえてください。できればすぐに報告してほしいですが、「伝えるのが遅くなっても、伝えないよりはずっといい」(第4章 からだの安全を守るための行動計画7を振り返ってください!)です。
こうした会話は、ときに子どもの命を救うことさえある、とても重要なものなのです。
『子どもを守る新常識 性被害 セーフティガイド』(キンバリー・キング 著, 栗田 佳代訳/東洋館出版社)
からだの安全絵本が全米ベストセラーとなった性被害予防専門家から、3歳〜10歳の子どもを育てる保護者へ
どんな状況であっても、被害者である子どものせいでは決してありません。
しかし、保護者が知識をつければつけるほど、子どもたちをより安全にすることができるのです。
子どもが性被害の危険に晒される可能性を最小限にするために、必要なこと全部を1冊にまとめました。