「もう間に合わない…」 宿題が終わらず涙した子どもに親ができるサポートとは?
子どもの宿題が終わらない、勉強がうまくできない…そんなとき、親はどうしたらいいでしょうか? 一緒にやってあげる、やらずに学校へ送り出す…「間に合わない」、「できない」と焦って泣いている子どもは、どれも納得できないかもしれません。
勉強を教える上で大切な「感情を受け止めること」を、でんちゃん(著), きのこの子(イラスト)『子育てがラクになる魔法の言葉』から紹介します。
※本稿は、でんちゃん(著), きのこの子(イラスト)『子育てがラクになる魔法の言葉』(日本能率協会マネジメントセンター)から一部抜粋・編集したものです。
涙で破れたノート
小学校3年生の長女のノートには、涙で破れたページがあります。
その日、長女は、宿題を翌日の朝にやることを自分で選びました。
しかし、思ったよりも時間がかかり、家を出る時間があと10分に迫りました。
残りの宿題は漢字2ページ。長女は鉛筆を手にしながら一生懸命漢字を書いていましたが、焦りながら宿題をしていたことで漢字を間違えてしまいました。
すると長女は「もう間に合わない……」と眉間にしわを寄せ、ついに泣きだしてしまったのです。そして間違えた漢字の上に涙がポタリと落ち、そこを長女が消しゴムで消したことで、ノートが破れてしまいました。
それを見た長女は、「あー。破れちゃったぁ」「もうダメだぁ……」と泣き崩れ、とても宿題ができる状態ではありませんでした。
感情を受け止める
その時、僕の中にはいくつかの選択肢がありました。
・鉛筆を持つ彼女の手に僕の手を添えて一緒に宿題をする
・代わりに消しゴムで消してあげる
・やらずに送り出す
でも僕は知っていました。そのどれをしても、彼女が納得しないことを。
僕は、彼女の泣き声が響き渡る部屋の中で、考えに考え、そして、彼女をギュッと抱きしめました。
「宿題がうまく進まなくて慌てちゃったんだよね」
「ノートが破れて悲しかったんだよね」
そう言うと、長女は大きく頷き、僕の胸の中で大きな声で泣きました。そして気持ちを落ち着かせ、自分の袖で涙を拭うと、また宿題に取り組み、彼女は最後まで宿題をやり切ったのです。
我が子が勉強を頑張る方程式
僕は、勉強を教える上で大切なのは、量や知識ではなく「感情を受け止めること」だと思います。
だから、あなたのお子さんが勉強がうまくできない時こそ、感情を受け止めてあげることを意識してみてください。
それが、我が子が勉強を頑張る方程式になるかもしれません。
次の日から彼女は、何も言っていないのに、前日の夜に宿題をするようになりました。
彼女が真剣に取り組む漢字のノートを覗くと、涙で破れたページには大きな花丸がついており、その次のページからは、とても丁寧な文字が並んでいました。
『子育てがラクになる魔法の言葉』(でんちゃん(著), きのこの子(イラスト)/日本能率協会マネジメントセンター)
「よくある声かけ」では伝わらないと悩む保護者に向けて、元保育士、ベビーシッターとして2000人の子どもたちとかかわってきた著者が、「本当に子どもに伝わる・子どもが変わる声かけ」のしかたや子どもと向き合うマインドを具体的に紹介します。