せっかくの旅行で不機嫌に…子どもに「裏切られた」と感じた時、心を落ち着ける方法とは?

オ・ウニョン
2025.04.28 17:21 2025.05.06 11:50

落ち込む 慰める

子どもは親の思い通りに行動してくれないものです。しかし、あまりにも子どもに振り回されると、親も感情的に怒りたくなってしまうのではないでしょうか。

韓国で「国民的子育てメンター」と呼ばれる精神科医のオ・ウニョンさんが教える、子育てのイライラを軽減する「声掛けのコツ」とは? 70万部超えのベストセラー『こんなとき、どうしたらいい? 子どもも親も幸せになる子育て』から、ウニョンさんの声掛けアドバイスを紹介します。

※本稿はオ・ウニョン著、吉川南 翻訳『こんなとき、どうしたらいい? 子どもも親も幸せになる子育て』(かんき出版)から一部抜粋・編集したものです。

◯◯の話をちゃんと聞きたい

スマホをする人

誰かと電話していると、必ず何か頼みごとをしてきて会話の邪魔をする子、いますよね? こんなときは、「うん、わかったよ。だけど、電話が終わるまで待っててね」と状況を説明してください。そして「パパは〇〇の話をちゃんと聞きたいんだけど、いまは電話中だから、終わるまでちょっと待っててくれる?」と付け加えます。電話が終わったら、「パパが電話してる間、静かに待っててくれてありがとう」とも言ってあげましょう。

「パパは◯◯の話をちゃんと聞きたいんだけど、いまは電話中だから、終わるまでちょっと待っててくれる?」

それでも毎回電話の邪魔をしてくるようなら、電話をかける前に、子どもに協力を求める方法もあります。「ママはこれから10分くらい電話するから、静かに待てるかな?」というように、何分後に電話が終わるのか、事前に子どもに知らせます。その間は、子どものお気に入りのおもちゃをあげて遊ばせたり、絵本を読んで待っててと頼んだりしてみましょう。
言わなくてもわかるだろうと思わず、具体的に言葉で了解を求め、代案を出してあげましょう。幼い子どもは自分の立場からしか考えられません。親を邪魔したくて何か頼んでくるわけではないのです。

子育てで大事なのはエンディング

手をつなぐ家族

食が細い子の話です。母親は、「どうすればもっと食べてくれるかな?」と悩みに悩んで、新鮮な材料を買っておいしい料理を作りました。ところが、料理を出しても子どもは首を振るばかりです。なだめてようやく一口、二口食べさせたのですが、すぐに「いらない」と拒否します。母親はカッとなって、「食べなきゃだめ!」と強い口調で怒ってしまいました。

これまで一度も子どもたちと海外旅行をしていないことが、その父親の心残りでした。そこで一年かけて旅行計画を練り、素敵な旅行先を選び、プールのあるホテルを予約しました。自分がとてもいい父親になれたようで、それだけで満足でした。しかし、空港に着いたときからイライラが始まりました。子どもたちがダダをこね続けるのです。妻も忘れ物をしたようで、持ってきた物より忘れ物のほうが多いような有り様でした。旅行中もイライラは収まらず、空港を出発して家に帰ってくるまで、ずっと妻とけんかばかり。とうとう腹立たしさのあまり、「もう旅行なんて連れて行かないからな!」と怒鳴ってしまいました。

親は当然、子どもをとても愛しています。常に「何をしてあげようか?」「しっかり育てなくては」という思いでいっぱいです。しかし、いざ育児のさまざまな場面に出くわすと、最初のその思いとは真逆の行動をしてしまうことがよくあります。最後には怒りで声を荒らげることもあります。子どもたちは、まるで映画のワンシーンを記憶するように、その姿が頭に焼き付いてしまいます。なぜ食べないのかと叱った母親の表情や、旅先で怒った父親の言葉をずっと覚えているのです。

大事なのは、おいしい食事や素敵な場所よりも、明るい太陽の下で母親がニッコリ笑っていた姿、父親とふざけ合って息ができないほど笑った楽しい経験です。それが、「あのときはとても楽しかったな」と、力を得て生きていく糧になるのです。
育児がうまくいかなくてイライラするときは、こう考えてみてください。
「最初はどんな気持ちで始めたんだっけ?」
「最後をどう締めくくったら、子どもたちにとっていい思い出になるかな?」

いつでも重要なのはエンディングです。丹精込めて作った料理を子どもが食べてくれなかったとしても、「いいよ、今度また作ってあげるね」と笑って終わりにしましょう。旅先で何かトラブルがあっても、これも子どもたちとのいい思い出になるだろうと気持ちよく帰ってきてほしいのです。子どもは親の最初の思いより、最後の行動を記憶します。そのことを忘れないようにしましょう。

オ・ウニョン

精神科医、児童青年精神科専門医。医学博士。延世大学医学部卒業、同大学大学院修士号、高麗大学大学院医学博士号を取得。新村セブランス病院精神科専攻医、サムスンソウル病院小児・青少年精神科専任医および臨床教授を経て、亜洲大学医学部精神科教授を歴任。現在は延世大学医学部客員教授を務める。オ・ウニョン小児青少年クリニック、学習発達研究所所長、オ・ウニョンアカデミー院長としても活動している。
育児テレビ番組「うちの子が変わりました」「60分 親」「最近の育児 大事な我が子」「オ・ウニョンの大事な我が子の相談所」「オ・ウニョンリポート」など、メディアや講演を通して「子育てメンターNo.1」「育児の神様」と呼ばれ、特に子育て世代から絶大な人気と信頼を得ている。『朝鮮日報』『東亜日報』など、メジャーな新聞社やインターネットのプラットフォームで子育て情報をシェアしている。
2017年「今年のブランド大賞」の幼児教育専門家部門で大賞、2021年緑の傘子ども財団の緑の傘アワードで「私たちの偶像」賞、2021年と2022年「今年のブランド大賞」(専門家エンターテイナー部門)、2021年MBC放送芸能大賞時事教養部門で「ドキュメンタリーフレックス」プログラム特別賞、2022年大韓民国教育大賞人格教育大賞(青少年人格部門)、2022年第17回親が選んだ教育ブランド大賞で「今年の教育人賞」を受賞。

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