• 子どもの成長

「子どもの食が細く、身長が伸びにくい」そんな悩みを抱える親御さんは多いでしょう。実は、その原因の1つに便秘があるかもしれません。
東京神田整形外科クリニック院長の田邊雄さんは、「慢性的な便秘によって、身長が伸びにくくなる」といいます。

便秘と身長の関係についての解説と水溶性食物繊維がしっかり摂れる「身長先生式レシピ」を、身長を伸ばす専門医「身長先生」こと東京神田整形外科クリニック院長の田邊雄さんの著書『身長先生式 子どもの身長が伸びる食事のルール30』から紹介します。

※本稿は、『身長先生式 子どもの身長が伸びる食事のルール30』（田邊雄／Gakken）から一部抜粋・編集したものです。

イラスト：かざまりさ

便秘による食欲低下が栄養不足を招く

子どもの便秘はとても多く、便が何日も出ない、便がカチコチになるなど、さまざまなケースがあります。そして、便秘は子どもの成長に悪影響を及ぼすことは間違いありません。子どものお通じを把握するために、毎日子どもに便の状態を聞くようにしましょう。

便秘対策を解説する前に、便秘と身長の関係についての調査結果を紹介しておきます。

台湾で1〜15歳の便秘の子ども2426人を対象に、便秘と成長の関係を調査。便秘改善に取り組みながら、食欲、身長、体重の変化を調べた結果、次の内容が報告されています。

・便秘を改善できた子ども＝食欲が増加、身長が有意に伸びた
・便秘を改善できなかった子ども＝食欲が増加せず、身長の伸びが悪かった
・肥満の子ども＝慢性的な重度の便秘になりやすい

便秘と食欲、食欲と身長の伸び、肥満と便秘、便秘と栄養失調。さまざまな関連が見えてきます。はっきりしているのは、慢性的な便秘によって、身長が伸びにくくなるということ。

子どもの食が細く、身長が伸びにくい場合、原因の1つに便秘があるかもしれません。また、肥満傾向のある子どもは、重度の便秘に陥るリスクが高くなります。肥満は早熟を招き、早熟は身長を伸びにくくする可能性がありますから、肥満と便秘の両方を改善する必要があります。

水溶性食物繊維が便を出しやすくする

便秘を改善するためには、規則正しい食事が欠かせません。私たちの体は体内時計のリズムに従って活動します。朝食を摂ることで内臓が活動をスタートし、排便が促されます。つまり、朝は便を出しやすいタイミングです。

日々の食事では食物繊維をしっかり摂ることが大切です。

食物繊維には不溶性と水溶性があり、特徴が異なります。

・不溶性食物繊維＝便のかさを増し、腸の動きを活発にする。便が水分不足で硬くなる
・水溶性食物繊維＝便が水分を含んでやわらかくなり、便を出しやすくする

どちらも不可欠ですが、野菜の多くは不溶性食物繊維を多く含んでいるため、無意識のうちに不溶性食物繊維が多くなりすぎてしまい、便が硬くなって出しづらくなります。

つまり、水溶性食物繊維をしっかり摂ることが必要。

【身長先生式レシピ】 もち麦わかめごはん

そこでおすすめしたいのがもち麦です。もち麦は大麦の一種でプチプチとした食感が特徴。栄養の特徴は次のとおりです。

・食物繊維は白米の約17倍。特にβ-グルカンという水溶性食物繊維が豊富
・カルシウム、亜鉛、鉄、マグネシウムを含む
・ビタミンB群を含む
・たんぱく質を含む（乾燥100g中に7g含有）

水溶性食物繊維を多く含むだけでなく、身長を伸ばすために重要な5つの栄養素のうち、ビタミンD以外の栄養素をすべて含有。便通をよくして子どもの身長を伸ばすのにとてもよい食材だということがわかります。

おすすめの食べ方は、もち麦ごはん。米と一緒に炊くだけなので、とても簡単です。プチプチとした食感で自然と噛む回数も増えるでしょう。

上記に不溶性食物繊維、水溶性食物繊維を多く含む食材、もち麦ごはんの基本的な炊き方とアレンジレシピを紹介しますので、活用してください。