学歴だけでは測れない子どもの発達…人間力を育むために欠かせない3つの要素とは
小さい頃は「できた」ことを褒められていた子どもが、大きくなるにつれて「できない」ことを指摘されることが増えていく…。しかし、子どもの発達は学校の成績や受験の合否だけでは測れないもの。
子どもの人間力を育んでいく親の姿勢とは? 島根太郎著『子どもの人生が変わる放課後時間の使い方』から紹介します。
※本稿は、『子どもの人生が変わる放課後時間の使い方』(島根太郎/講談社)から一部抜粋・編集したものです。
発達の土台となる自己肯定感
子どもたちの成長に決まった速度はなく、一人ひとりペースは異なります。それでも、自分軸と社会軸の発達には大まかな段階があり、その流れを知っておくことは子育ての大きな助けになります。
まず、すべての発達の基礎となるのが、「アタッチメント(愛着)」です。赤ちゃんを抱きしめ、優しい言葉をかけ、愛情を注ぐ。これは単なるスキンシップではなく、子どもの心の発達にとって決定的に重要な体験なのです。
子どもは安全基地としての親を頼りに、少しずつ世界を広げていきます。よちよち歩きで転んでも、戻ってきて抱っこしてもらえる。その安心感があるからこそ、また新しい挑戦ができる。この信頼関係が、自己肯定感を育んでいくのです。
未就学児は「自分軸」と「社会軸」を育てていく
未就学児は、自己肯定感を土台に「自分軸」を徐々に育てていきます。自分で着替えてみたい、ボタンを留めてみたい。そんな意欲が芽生え、自己主張もできるようになっていく。同時に、保育園や幼稚園などの環境の中で子ども同士がつながり、「社会軸」も育っていきます。
最初は一人遊びや平行遊び(同じ場所で同じような遊びをしながらも、子ども同士の関わりがほとんどない遊び)が中心ですが、次第に友達への興味が生まれ、ときにはおもちゃの取り合いでケンカになることも。でも、そうした経験の中で思いやりの気持ちや共感性が芽生えていくのです。
小学生の時期に大切なのは、一つでも自信の持てることを見つけること
小学生になると、新たな課題が現れます。学校では、みんなと同じことができることを求められます。未就学児の頃は「できた!」と褒められていた子も、ランドセルの中身がぐちゃぐちゃだと注意される。できないことを指摘される機会が増えていきます。
学年が上がるにつれ、九九や漢字など、勉強も徐々に難しくなっていきます。体育の時間、鉄棒や跳び箱ができないと、恥ずかしい思いをする。そうした経験の積み重ねが、時として子どもたちの自己肯定感を揺るがせてしまいます。
この時期に大切なのは、一つでも自信の持てることを見つけること。それは運動でも、勉強でも、趣味でも構いません。得意なことがあると、それが自信となって苦手なことにも挑戦できる気持ちが生まれてくるのです。
子どもの人間力を育む
私たち大人は、子どもの発達を学校の成績や受験の合否という、単一の物差しで測りがちです。でも、子どもの成長はもっと多面的なもの。受験に必要な知識や技術は、必ずしも社会で必要とされる力とイコールではありません。
実際、社会に出てみると、学歴という物差しだけでは測れない人の価値に気づかされます。むしろ、自分なりの物差しを持ち、自分のペースで成長していける子に育ってほしい。それが私たちの願いです。
子どもの発達の土台となる自己肯定感をしっかりと育むこと。その上で、自分で考え行動する力(自分軸)と、他者と関わる力(社会軸)をバランスよく伸ばしていけるよう見守っていきましょう。焦らず、急がず、子どもの成長に寄り添う。そんな姿勢が、子どもの人間力を育んでいくのです。
『子どもの人生が変わる放課後時間の使い方』(島根太郎/講談社)
小学生の1年間の学校生活1200時間に対し、放課後の時間は1600時間。
この未来の貴重な「資産」となる時間を、塾や習い事だけで埋めていませんか? なんてもったいない!!
1600時間を「未来への投資をする時間」と考えると、小学生のうちにまず優先してやるべきことは、学校や塾の勉強での認知能力の向上ではなく、社会につながるための人間力=非認知能力をいかに育むか。
この人間力は、自立した個を確立のための自己肯定感、粘り強くものごとを進める力などの「自分軸」と他者とかかわるためのコミュニケーション力などの「社会軸」の二軸からなります。
と言っても難しく考える必要はありません。
基本は子どもたちのやりたい気持ちを信じて、周りの大人たちはそれをサポートすること。
民間保育園・学童を広く展開する著者が、多くの子どもたちと接し、キッズコーチと子どもたちのかかわりを通じて学んできたヒントを明かします。
むしろ、忙しい保護者にこそおすすめの楽しみながらできる子育ての提案です。