「なんで無視するの?」は逆効果 友達に無視されたときの“上手な返し“

戸田久実

毎日学校に通う子どもにとって、友だちとの人間関係はときに難しいもの。嫌なことをされたときに、どう対応すればいいのか、悩むこともあるでしょう。

友だちに意地悪や無視をされたときの上手な気持ちの伝え方について、アンガーマネジメントを広める戸田久実さんの著書よりご紹介します。

※本稿は、戸田久実著『まんがでわかる 子どものイライラが消える本 13歳までに身につけるアンガーマネジメント』(かんき出版)の一部を再編集したものです。

意地悪をされた(教科書を隠された)

〇「わたしの教科書を隠さないで」
…何をしてほしくないのか、何をされてイヤだったのかを伝えよう

×「意地悪をしないで!」
…「意地悪をしないで」と言うと、「意地悪なんてしていないよ」と返ってくることや、「意地悪でやったんじゃないもん」と言われたりするかもしれないよ

こちらが意地悪だと思っても、相手は意地悪でしたわけではないこともあります。

されたことに対して

「これはやめて」
「これをしないで」
「そういうことを言わないで」

と言えるようにしましょう。

「それはイヤなんだ、やめてね」

と言えなくて悶々としていると、相手も悪気なく続けることやエスカレートすることも考えられます。

そういったことを防ぐためにも、

「それは、しないで」
「それはイヤだ」

とはっきり言うことが大切です。

まわりの大人に早めに相談することも大切

傷つくことを言ったり、ものを隠したりすることがあまりにも続くようなときは、先生に相談することも考えましょう。

親に相談することもひとつの方法です。

意地悪のつもりではなく、気になる相手に悪ふざけでしてしまい、本人がどれだけイヤな思いをしているのかがわからずに続いてしまうこともあります。

自分だけで解決できないと思ったら、親に相談したり、親から先生に話してもらったりするのもありです。

なかには、誰かに相談したら、さらに意地悪をされそう、相手がひとりではなくて数人で何かされたら怖いから、学校に行きたくない、などと思う人もいるかもしれませんね。

そうなる前に、

「こんなことがあって…」

と早めに相談することも大切です。

一番避けたいのは、誰にも言えずにストレスを抱えて、学校に行きたくなくなって引きこもってしまうことです。

「イヤだ」と言えたり、自己解決できたりすればいいのですが、学校が嫌いになることや行きたくなくなるようであれば、親の力を借りてもいいのです。

担任の先生に言えなければ、保健室の先生や、スクールカウンセラーの先生がいる学校もあるので、話してみてもいいかもしれません。

とにかく、「イヤだ」と言っても、やめてもらえないようなときには、そのままにしないようにしましょう。

「仕返しされるかも…」と自分では怖くて言えなければ、親やまわりの大人がいてくれることも忘れないでくださいね。

無視をされた

〇「ねぇ、こっち向いて、話を聞いてよ」
…どうしてほしいかを伝えよう

×「なんで無視するの?」
…ケンカ腰に言うと、相手も余計にカチンとしてしまうよ

どういうことをしてほしいのか要望を言っても聞いてくれなくて、悪意のある無視をされてつらい思いをするのなら、

「こんなことになっていて、つらいんだ」

と、先生や親に相談してみてもいいのです。

なんとか自分でできるならやってみることも大切ですが、もし、自分の力でどうにもならないなら相談しましょう。

どれくらいのことか程度にもよりますが、無視をされたら、ショックを受けたり、悲しかったりイヤだったり、頭にきたりすることもありますよね。

挨拶をしても返してもらえなかったら、相手から見えるところに行き、もう一度、言ってみることもひとつの方法です。

言えるような間柄の場合、

「ねぇ、挨拶したからしてよ」

と言ってみてもいいかもしれません。

気をつけたいのは、

「なんで無視するの?」

とケンカ腰に言わないことです。

最近、腹が立ったことは?

以前、中学校1年生の男の子から、

「怒りについて自由研究をしているから、お話を聞かせてください」

と、電話をもらったことがありました。

その男の子に、

「最近◯◯君は、何に腹が立ったの?」

と聞いてみると、

「友だちがぼくの話を無視したこと」

と言っていました。

どんな場面だったのか聞いてみると、

「ねぇねぇ、◯◯君」

と、話を聞いてほしくて声をかけたら、まったくこちらを見ることも反応することもなく、別のことをしていてイラッとしたと言うのです。

そのとき、男の子が

「無視するなよ。ちゃんと聞けよ」

と怒ると、相手もイラッとして

「は?」

という反応が返ってきたので、家に帰っても腹が立って仕方がなかった、と教えてくれました。

曖昧な言葉ではなく、相手がわかる言葉で伝える

「そのとき◯◯君は、本当はどんなことを友だちに言いたかったの?」

と聞いてみたところ、

「ぼくの話をちゃんと聞いてほしい」

と言うので、

「ちゃんと聞いてほしいというのは、どんな聞き方をしてくれたらよかったの?」

と質問すると、

「ぼくのほうを見て、『そうなんだ』と反応しながら、ぼくの話を聞いてほしかった」

と言っていました。

そこで、

「『なんで、無視するんだよ』と突っかかるように言ったら、相手もイヤな気持ちになって『なんだよ』という反応を返してくるよね。それなら、どうしてほしかったのか、どう聞いてほしかったのかを伝えたほうが、相手もわかってくれるんじゃないかな? もし、また同じようなことがあったら、『ちゃんと聞いてほしかった』と言うだけでなく、どうしてほしかったのか、相手がわかるように言ってみようか」

というやりとりをしたことがありました。

「無視するなよ!」

と言われたら、

「無視までしていないし…」

と思う人や、悪いことをしたように言われることをイヤがる人もいるかもしれません。

「挨拶をしたら、挨拶を返してよ」
「いま話していることを、こっちを向いて聞いてよ」

など、どうしてほしかったのかを言えるといいですね。

まんがでわかる 子どものイライラが消える本 13歳までに身につけるアンガーマネジメント

戸田久実著『まんがでわかる 子どものイライラが消える本 13歳までに身につけるアンガーマネジメント』(かんき出版)

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