口先だけのほめ言葉は、子どもに不安やプレッシャーを与えるだけです。では、どんなふうに声をかければ、子どもの自信とやる気を育てることができるのでしょうか?

 

 

 

ただ「ほめる」だけでは、子どもには届きません~親がやりがちな5つの「NGぼめ」~

 

子どもをほめて育てることの重要性は、誰しも認めていることでしょう。ほめられることによって、特に親からほめられることは、子どもにとって大きな自信とやる気を育みます。また自分が親から認められ、愛されているという心の安定感を植え付けます。

 

しかし、このように子どもの心を良い方向にまっすぐ伸ばしていくようなほめ方をすることは、意外と難しいことでもあります。それは、ただほめ言葉を発すればいいというものではないからです。子どもの気持ちや状況を的確に捉えた上での言葉でなくてはいけません。口先だけのおざなりな言葉は、子どもの心には届かないのです。

 

子どもは親の気持ちをちゃんと見抜いています。また、ほめられることが子どもの負担になる場合もあるので、親としてはタイミングよく、適切なほめ方をしたいものです。安易なほめやタイミングのずれたほめは、効果がないばかりか害にすらなってしまうこともあるのだと心に留めて、十分に注意していきましょう。

 

次からは、ついやってしまいがちな子どもに届かないNGなほめ方について取り上げます。これらの間違ったほめ方をしていないか、時々、自分を振り返ってみましょう。ほめるときも叱るときも、子どもの気持ちを的確に理解し、親の気持ちを届けていくことがとても大切です。

 

あなたはどっち!?

 

「とても上手に描けているね!でも、お母さん、こんなに鼻がまがっているかしら」

 

→NGなほめ方

良い点を指摘しないでダメなところを指摘したり、お母さんの好き嫌いを述べたりする。

 

ほめが足りない、届いていないと……

子どもの気持ちの中に満たされない思いが生じてしまいます。「自分はダメなんだ」という思いに陥り、自己肯定感が育ちません。理解されない不満から、他人への信頼感を育てることも難しくなります。

 

「空の雲がとてもうまく 描けているね!」

「お母さんを 美人に描いてくれて嬉しいわ!」

 

→OKなほめ方

全体的に大まかにほめるのではなく、子どもが特に心を込めたと思われる点や、細部にまで触れて指摘する。

 

ちゃんとほめられていると……

子どもは本当にほめられてると感じると、自分に対して自信がもてるようになり、もっと頑張りたい、もっといろいろなことに挑戦したいという意欲が高まっていきます。そして何事にも積極的に取り組んでいくようになるでしょう。

 

子どもを追いつめる 親がやりがちな5つの“NGぼめ”

 

ほめているつもりが逆効果になってしまっていたとしたら、そんな悲しいことはありません。親として、子どもが納得して本当に良かったと思えるような言葉がけをしたいものです。ここでは、ついやってしまいがちな5つの間違ったほめ方を紹介します。

 

1.結果のみをほめる

 

現代のわれわれ大人の世界は、成果主義という結果重視の風潮にさらされています。しかし子どもに対しては、結果のみを評価するのではなく、結果に至るプロセスや細部にしっかり目を向け、具体的なアドバイスや言葉をかけていくことが必要です。 たとえ結果がうまくいかなくとも、そこに至る過程をしっかり認めてやるような言葉を受けて、子どものやる気は高まっていくものです。良いアイデアや動機から発していても結果を伴わないために、まったくダメなものであるということになってはいけません。このような細やかな心配りや言葉がけをするには、親のほうの忍耐や、ゆとりが必要になります。

 

2.他の子と比較してほめる

 

「お兄ちゃんよりうまくできたね」などと言われると、子どもは嬉しくなって一生懸命頑張るかもしれません。比較して競争させることは一見、やる気を起こさせる力になります。しかし結局、他との優劣を意識させることであり、いたずらに優越感や劣等感をもたせる危険性があります。 誰々よりうまくできる、早くできることが大事なのではなく、しっかりと課題に向かい、一生懸命頑張ることが大切であると教えたいものです。競争をあおることによる弊害は、その後のいじめ問題などにも通じています。“競争社会”のひずみの中で問題行動が発生していることも、心に留めておきましょう。

 

3.今ほめずに後でほめる

 

子どもが「お母さん見て! こんな絵を描いたよ!」「縄跳びができるようになったよ!」などと言ってきます。忙しい真っ最中で手が離せないときも多いでしょう。親はつい「今、手が離せないの。後でね」などと言いがちです。しかし、こんなときの子どもの気持ちを考えてみてください。子どもの高揚した気持ちは、急速に萎んでしまいます。せっかくのやる気がうせてしまうのです。 お母さんの事情もあるでしょうが、できるだけ「後で」は言わないようにしましょう。この原則はほめることだけでなく、叱ることにも適用されます。「後で」は大人の都合です。

 

4.ほめながらも不満な点を付け加える

 

親はつい、子どもへの期待のあまり“指導者”的な評論家になってしまいがちです。無条件にほめるのではなく、何か足りないところを指摘してやらなければと思ってしまうのです。しかし「もう少しこうすれば良かったのに」「もう少し練習すればもっとうまくなったのに」などと足りないところを指摘され、さらに努力することを強要されて、「今度はもっと頑張ろう」とやる気を出す子どもはほとんどいないでしょう。 子どもが何かに努力・挑戦したとき、親は出来具合を丸ごと受け入れ、ただほめてやらなければなりません。そうすることによって結果的に、「今度はもっと頑張ろう」という気持ちがわいてくるのです。親は評論家ではなく共感者であるべきです。

 

5.過度にほめる

 

子育てにおいては、ほめることが重要ですが、だからと言って何もかもやみくもにほめちぎっては逆効果です。“過ぎたるはなお及ばざるがごとし”です。いつもほめられてばかりいると、ほめ言葉の効果はなくなり、むしろほめられるかどうかばかり気になって、落ち着かなくなってしまいます。また、ほめられなければという圧力、ストレスを与えていることにもなります。 あくまでも子どもの気持ちにそって、つまり、子どもがほめられたいときにほめるという、ほめのタイミングを正しく計ることが大事です。

 

ほめることを通して、自信とけじめを身につけさせる

 

誰しも子どもをほめて育てたいと思っています。ほめることで親と子のハッピーな関係を築いていけたら、こんな幸せなことはありません。しかし、子どもをほめることは簡単なようでなかなか難しく、逆に子どもを傷つけてしまうこともあります。というのも、これまで述べてきたような“NGぼめ”があるからです。“NGぼめ”によって、子どもの心にひずみが生じたり、誤った方向に導いてしまう危険性があります。 自信がなく、いつも親の顔色を窺ってしまうAちゃん。「自分はどうせダメなんだ。いくら頑張ってもお母さんはもっと頑張れ! って言う」。親の欲目で、つい要求が高くなってしまうのでしょう。頑張ったときは、無条件で丸ごとほめてやる、それが大切なのです。“NGぼめ”をしていると、親としてちゃんとほめているつもりでも子どもには伝わっていません。子どもは自信がつくどころか自信を失ってしまいます。

 

また、ほめることは叱ることとセットです。時に叱り、時にほめる、そして、ほめるほうがやや多いのが理想でしょう。Bちゃんのお母さんは優しくいつも過剰と言えるほどBちゃんをほめていましたが、Bちゃんはちょっと困った子でした。幼稚園で他の子が嫌がることをしたり、泣かせてしまったりすることが、たびたびあったのです。Bちゃんはお母さんからほめられるようないい子でいたいという思いが強く、お母さんの目が離れるとその気持ちが緩んでしまい、困った行動につながってしまったのだと思われます。 幼児期のお子さんにとって必要なことは、社会人(集団の中に入って)としてのマナーやルールの基礎を身につけることです。そのためには、適切にほめたり叱ったりされることが必要です。善悪のけじめをしっかり身につけさせる、そのためのほめ言葉、叱り言葉であることも、常に心に留めておきたいものです。

 

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親がかける言葉で、 子どもの人生が変わる

 

【著者紹介】

河井英子 (田中教育研究所所員)

健康の心理学、発達と学習の心理学を専門とする。子どもの発達心理学をテーマに、大学で教鞭をとり、雑誌、書籍への積極的な執筆活動も行なう。教育相談員として、子どもの心の問題に関する相談にあたたかなアドバイスを行なう。そのカウンセリング的なアプローチは、子育てに戸惑う多くの人に支持されている。

 


 

のびのび子育て

「PHPのびのび子育て」は未来を担う子どもたちの健全な成長と幸せを願って、発刊している月刊誌。 2016年12月号の特集は<ほめて、子どもをダメにする親・伸ばす親>です。

 

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