子どもの自己主張は「いいわがまま」

中垣俊子(コルネット主宰)
2023.10.11 11:43 2023.02.02 15:42

子どものいいわがままへのアプローチ

子どもの自己主張は「いいわがまま」の画像1

それでは親は子どもの課題には何も口出しできないのか? というとそうではありません。隣の道からのアプローチ法があります。

それは意見・提案・お願いのような方法です。これらは子どもの決定権を守った方法ですから、子どもの道に不法侵入していません。

叱ったり強制したりは子どもの道に入ってしまうのでダメなのです。

○意見を言う

意見とは、個人的な考えや価値観を伝えるものです。あくまでも意見ですから、「~に決まってるでしょ」「~するのは当然でしょ」などのように、決めつけた言い方をしてはいけません。「私は~と思うよ」「~したほうがいいと思うけどなあ」のような言葉遣いで伝えます。

よい具体例
「早めに宿題したほうが後で楽だと思うけどなぁ」
「○○ちゃんと一緒にスイミングに行ったら楽しいかもよ」


わるい具体例
「宿題は帰ってすぐやるもんよ」
「ゲームするぐらいなら本でも読みなさい」

○提案をする

提案とは、自分がいいと思うことをおすすめすることです。あくまでもおすすめですから、「~しなさい」「~はダメ」などのように命令してはいけません。「~はどう?」「~がいいんじゃない?」など疑問形で行い、言葉以外の態度や口調でもなるべく圧力をかけないように配慮するのがポイントです。

よい具体例
「長袖の上着をもっていったら?」
「1個だけにんじんさん食べてみない?」

わるい具体例
「この寒いのに半袖なんてダメよ」
「嫌いでも全部食べなさい」

○お願いをする

お願いは、自分の要求を受け入れてくれるよう依頼することです。あくまでもお願いですから、相手にはYESかNOを決める権利があります。たとえNOと言われても腹を立ててはいけません。「~してくれない?」「~してくれると助かるんだけどどうかな?」のように子どもがNOと言いやすいような疑問形や仮定形でお願いします。

よい具体例
「もし~をとってきてくれると助かるなあ」
「宿題、お母さんにも見せてくれる?」

わるい具体例
「学校のプリントをさっさと出しなさいよ」
「忘れ物するんじゃないわよ」

このようなコミュニケーションは、相手の権利を大切にしたやりとりです。友人との会話や職場などでは、このような言葉を自然と使っているのではないでしょうか。親子でこんな言葉遣いをするのは、他人行儀でよそよそしいと感じる方もいるかもしれませんね。

しかし子どもには社会に出てからも通用する会話を身につけて欲しいと思いませんか? ですから言葉はちょっと距離をとって丁寧に、そしてスキンシップや遊びでは思いっきり近づいて愛情を深めましょう。

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中垣俊子

中垣俊子

1967年生まれ。認定心理士。保育士。1996年に女性のためのカウンセラー「コルネット」を主宰し、子育てや夫婦関係・仕事など女性の心理カウンセリングや、心理カウンセラーの養成、小学生の放課後スクール「アドラーこども学校」の運営を行っている。また行政やNPO法人の依頼による講座の開催や、不登校の親の会のサポートを行う。