特別支援学校で行われる「子どもの偏食」解決への2つのアプローチ
特別支援教育とは「得意なことを伸ばし、苦手なことを少しでも改善して、生活や学習での困りごとを解決していく」ことを目的とした”全ての人にとって効果的”な教育です。
特別支援学校で教師として働く平熱さんが、「子どもの偏食がひどい」というお悩みに、特別支援教育をもとにした対処法を語ります。
※本稿は平熱著『特別支援教育が教えてくれた 発達が気になる子の育て方』(かんき出版)から一部抜粋・編集したものです。
平熱(特別支援学校教師)
おもに知的障害をもつ子が通う特別支援学校で10年くらい働く現役の先生。小学部、中学部、高等部のすべての学部を担任し、幅広い年齢やニーズの子どもたち、保護者と関わる。「視覚支援」「課題の分解」「スモールステップ」「見えないところを考える」など、発達障害やグレーゾーンの子どもたちだけではなく、全人類に有効な特別支援教育にぞっこん。Twitterアカウント:@365_teacher
偏食が多く、食べられるものが少なくて困っています。
はじめに、「偏食が多く、決まったものしか食べてくれない」のなにが「問題」なのかを、具体的に掘り下げていきます。
きっと、いちばん先にくるのは「栄養が偏る」でしょう。
ちがう見方をすれば、好きなものを中心に食べることは、「偏った栄養」かもしれないけれど、食事そのものをたのしめている場合がほとんどです。
つぎに「(給食など)自ら選べないメニューが出たときに、食べるものがない」でしょうか。特別支援学校にも偏食(好き嫌い)のある子は多く、この問題には常日頃からわたしたちも頭を抱えています。
では、本題です。
①「栄養が偏る」問題
これはもう単純な答えになってしまいますが、「食べられるほかの食材やサプリメントなどで、足りてない栄養を補う」がいちばんてっとり早いです。
もちろん、偏食や好き嫌いが少なく、食べられるものが多いほうが生きやすくなるのは確かです。
ただ、それらの克服と並行して「偏食が多く、決まったものしか食べてくれない」の「問題」が「栄養が偏る」ことであれば、こういった「ほかで代用する」視点のアプローチをすることで、食べさせたい大人と、食べようとがんばる子ども、おたがいに心の余裕がうまれるんじゃないでしょうか。
お米が苦手でも、お餅なら食べるかもしれません。お米を食べる練習をしながら、お餅も食べていきましょう。米がないなら、お餅を食べればいいじゃない。