「2歳の子が急に食べなくなった」のはなぜ? 専門家が教える少食・偏食のこと
これまで何でも食べてくれていたのに、急に食べなくなった…。子どもの食事が不安定になると親は心配になってしまいます。しかし子どもの「食べない」に対して不安ばかりが先に立って、子どもを苦しめてしまうケースもあります。
会食恐怖症を克服した経験を持つ食育カウンセラーの山口健太さんは「好き嫌いは子どもの『わがまま』ではない」と断言します。ここでは子どもの「食べない」に対して親が知っておくべきことを解説します。
※本稿は、山口健太・著『食べない子が変わる魔法の言葉』(辰巳出版)より、内容を一部抜粋・編集したものです。
「食べない子」に関するよくある勘違い
ここで「食べない子」に関するクイズを5問出題します。
全て「○」か「×」かの2択のクイズです。
Q1食欲は「空腹だから」湧き上がるもの?
Q2好き嫌い(偏食)は子どものわがまま?
Q3好き嫌いをしていると栄養失調になる?
Q4苦手な食材は年齢とともになくなっていく?
Q5食べないものは食卓に並べない方が良い?
Q1 食欲は「空腹だから」湧き上がるもの?
答えは×です。
「食事も喉を通らない」という言い回しがあるように、人はストレスを感じたり、不安や緊張状態にあったりすると、空腹でも食欲が出ないことがあります。
なぜなら、人はストレスを感じることで血糖値が上昇し、満腹中枢が刺激されて食欲が抑制されるからです。また、緊張によって喉の筋肉が動かしにくくなるので、食べ物が飲み込みにくくなり、消化器官の働きも悪くなります。
つまり、食べられない子に対して強いプレッシャーを与えることは、逆効果です。それどころか、一度それを経験してしまうと「また言われたらどうしよう」「頑張って食べなければ怒られる」という”予期不安”が起きてしまい、「食事をする前から気持ちが悪い」という心理状況になることもありえるのです。
それでは「食べない子」が「楽しく食べられる子」に変わるわけがありませんよね。
Q2 好き嫌い(偏食)は子どものわがまま?
こちらの問題も「×」です。
「好き嫌い」は、単純に「わがまま」の一言で片付けてはいけない問題です。むしろ「わがまま」で片付けてしまうと、小食や偏食はなかなかなおりません。
たしかに、偏食のことを一般的に「好き嫌い」という言葉で表現することが多々ありますし、私も講演会などでは、分かりやすいようにあえて「好き嫌い」という言葉を使うことがあります。しかし、実は「好き嫌い」という表現はあまり正しくないということが、研究などを通して分かってきています。
特に小さいお子さんの場合は、好き嫌いや偏食は「感覚の問題」に起因することが少なくありません。