6年生になったら学校行事は休ませる親は正しい? SAPIXに学ぶ「中学受験前の心構え」

佐藤智

小学生のときに勉強しすぎると、あと伸びしない?

中学受験でがんばって希望の中学に入学できたことで燃え尽きてしまい、学びへの意欲がなくなることを心配する保護者がいます。けれども、中学受験と中学以降の勉強への意欲低下との直接的な因果関係はありません。

たしかに、昔は入試の内容に先取り学習で対応できる問題が多かったので、中学受験が目的化し、受験までに知識を詰め込んで、ゴールしたら燃え尽きるといった現象がありました。

しかし、現在はこうした知識偏重の詰め込み型の勉強では中学受験を突破することはできません。先ほども述べましたが、近年の中学入試においては知識をただ問うのではなく、子どもの生活や遊びのなかで得た知識を表現したり組み合わせたりする問題が多くだされるようになっているからです。

いろいろな体験をすること、そしてその体験から問いを育んで、自分で「なんでだろう?」と考えることがとても重要になってきます。SAPIX小学部でも、子どもたちが興味をもてるような問題をどんどん提示しています。そのため、学びに楽しさを覚えている子どもが多いように感じます。

中学に入って勉強をしなくなったとしたら、「中学受験に打ち込んだから力を使い切ってしまった」というよりは、学習面ではなく、ほかのことに興味関心が向かっただけかもしれません。

「音楽にハマって、ひたすらバンド活動に打ち込むようになった」「マンガやアニメが好きになり、気の合う仲間とのオンラインコミュニケーションに没頭した」などいろいろなケースが考えられます。

大人は、つい勉強をするかしないかのモノサシで子どもを測ってしまいがちです。しかし、子どもたちのパワーの向かう先は決して学問だけではありません。

心配になる気持ちもわかりますが、もしかしたら、勉強以外の特技をもち、その才能を開花させて社会で活躍していくことになるかもしれません。大人の目線で判断するのではなく、少し長いスパンで子どもを見守ることも大事だといえるのではないでしょうか。

Check!
・子どものパワーは勉強だけに向かうわけではない。
・子どもが夢中になっていることを見守るのが大事

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