中学生の娘が「彼氏と結婚したい」と言い出したら…法律が許すのは16歳? 18歳?
第739条 婚姻の届出
質問:結婚式を挙げなくても結婚はできるの?
大好きなドラマで、主人公が海の見える教会で結婚式を挙げる素敵なシーンがありました。景色が最高で、みんなに祝福されて、私もこんな結婚式をしたいと夢見ています!
ところが、その話を付き合っている彼氏にしたら、「結婚式なんてまったく興味がない」と塩対応。将来は彼氏と結婚したいと思っているので、ちょっとさびしい……。そもそも式を挙げなくても、結婚は認められるのですか?
回答:「婚姻届」を出せば認められます
結婚は、二人に結婚する気持ちがあり、役所に「婚姻届」と呼ばれる書類を提出することによって成立します。この届け出がなければ、法律上の結婚にはなりません。
結婚するときには、教会、神社、ホテルなどで式を挙げることが多いです。しかし、必ずしも結婚式を挙げなければいけないという決まりはありません。
最近は、結婚式を挙げないカップルも増えています。本人たちや家族の考え方次第なのです。パートナーとじっくり話し合って、決めるといいですよ。
ところで、婚姻届と同じように、みんなが生まれたときには、お父さんやお母さんが「出生届」という書類を役所に出しています。
ほかにも、生活していると役所に届け出なければならないことがいろいろとあります。引っ越ししたら「住民異動届」、離婚したら「離婚届」、亡くなったら「死亡届」など。社会生活を送っていると、役所とかかわることが増えていきます。
第750条 夫婦の氏
質問:お母さんはお父さんと結婚する前は、違う名字だったと聞きました。
どうしてお母さんは名字が変わったのでしょうか? 私は今の名字が好きです。だから結婚しても変えたくない……。女の人は名字を変えないといけないのでしょうか?
回答:法律上の結婚をすると、日本では夫婦は同じ姓(名字)を名乗らないといけないことになっています。
つまり、結婚するときにどちらかの姓にしないといけないのです。
あくまで、どちらかであって、女性が男性の姓にするという決まりはありません。お父さんとお母さんは結婚するときにどちらの姓にするかを話し合って決めたはずです。
海外では結婚しても姓が変わらない国があります。
日本でも、結婚後も結婚前の姓を使える「選択的夫婦別姓制度」について長い間話し合われています。最近では、SDGs におけるジェンダー平等や多様性の観点からも、たびたびこの条文は議論になっています。
女性の社会進出がどんどん進み、結婚したり出産しても働き続ける女性が増えています。
その際、結婚して姓が変わると不都合が生じることがあるため、男女平等の観点からも夫婦別姓を望む声は増していますが、法律を変えるべきかどうかの結論はまだ示されていません。
みなさんが大人になって結婚したとき、どうするか? 自分のこととして考えましょう。
第752条 同居、協力及び扶助の義務
質問:お父さんとお母さんが、ケンカをしてしまいました。
腹を立てたお母さんが、夕食にお父さんが大嫌いなトマトをいっぱい出したところ、お父さんがさらに怒って「もうこの家を出ていくからな!」と怒鳴りました。
まさかとは思いますが、このまま別々に暮らすことになったらどうしよう?
回答:夫婦は同じ家に暮らし(同居し)、お互い協力して生活しなければならないと民法で決められています。
これは結婚した夫婦の義務として定めているのです。ただし、別々に暮らすことを認めないものではありません。
最近では、週末だけ一緒に暮らすといったケースもありますし、夫婦によって考え方やスタイルはいろいろのようです。
とはいえ、今回のケースではお父さんもお母さんも冷静になって反省してほしいですね。両親がケンカをしてつらい思いをするのは子どもなのですから。
第767条 離婚による復氏等
質問:親が離婚したら僕の姓はどうなるの?
両親が離婚することになりました。お母さんは結婚するときに、お父さんの姓に変えたそうで、「離婚するなら元に戻そうかな……? でも仕事をしているから姓が変わったら困るのよ」と悩んでいます。僕の姓もどうなる?
回答:民法では、結婚したときに姓を変えた人は、離婚したら元の姓に戻るとされています。
ただし、そのまま同じ姓を使い続けることもできます。それでは子どもの姓はどうなるのか? 子どもの姓は元のままで、親が離婚しても変わりません。ただし、それだとこのケースの場合、もしお母さんについていくことになって、お母さんが姓を元に戻したら、親子で異なることになってしまいますよね?
そこで、出てくるのが民法第791条「子の氏(うじ)の変更」という規定です。家庭裁判所の許可をもらい役所に届け出ることで、親子で同じ姓にすることができるのです。
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