産後の働き方で1番「お得」なのは? 出産前にチェックしたい「お金の基本知識」
妊婦健診や出産にかかる費用はどれぐらい? 準備しておくべき教育費はいくら? 子どもにかかるお金については、出産前から計算して確認しておきたいですね。妊娠・出産でもらえるお金も、貰い逃しのないようにしっかりチェックしましょう。ファザーリングジャパンが解説します。
※本稿は、ファザーリングジャパン著『家族を笑顔にする パパ入門ガイド』(池田書店)より、内容を一部抜粋・編集したものです。
ファザーリングジャパン
「父親であることを楽しもう=Fathering(ファザーリング)」と思うパパたちを増やし、子育てを支援するため、2006年に設立。全国で年間1000回を超えるパパ講座・イクボス講座、セミナー、イベントなどを実施している。「働き方改革」を推奨する企業や行政と連携した取り組みも多い。支部団体を有し、会員数は400名を超える(2017年12月現在)。
出産費や医療費の把握はパパが積極的に
妊娠がわかると、出産までに多額のお金が必要なのではないかと心配するパパやママが多いです。確かに必要なお金はありますが、国や市町村、会社にも支援制度がたくさんあります。
妊婦健診は公費助成されるため、自己負担額は、初回の検査や助成対象外の検査などで平均5万円程度といわれています。
ママが働いていて、健康保険に加入している場合には「出産手当金」も出ます。ママが出産のため会社を休み、その間に給与の支払いを受けなかった場合は、出産の日(実際の出産が予定日後のときは出産予定日)以前42日(多胎妊娠の場合98日)から出産の翌日以後56日目までの範囲内で、会社を休んだ期間を対象として出産手当金が支給されます。
出産にも40万円から50万円程度のお金が必要ですが、「出産育児一時金」で50万円が支払われます。事前に手続きをすれば、病院での精算時には50万円を超えた分を支払えばいいのです。
(参考:厚生労働省公式サイト 出産育児一時金の支給額・支払方法について )
切迫早産や帝王切開などのケースでは健康保険が適用されます。高額になった場合には高額療養費制度の申請ができますので、一定の自己負担額を超えた分は健康保険から払い戻されます。
あらかじめ長期入院や帝王切開などがわかっている場合は、事前申請で「健康保険限度額適用認定証」をもらっておくと、病院での精算時には差額のみの支払いでOKになります。
高額の医療費を支払ったときには、確定申告で一定の金額の所得控除を受けることができます。これを医療費控除といいます。所得税や住民税が還付される場合があります。健康保険が適用になる場合で、ママが医療保険に加入している場合には、保険の請求も忘れないようにしましょう。
出産・産後に必要なお金は出産前に準備しておこう
妊娠・出産ではもらえるお金の制度が充実していますが、それでも必要なお金があります。妊婦健診・検査費用の自己負担分(自治体から助成金があります)、マタニティウエア・下着代、育児グッズ準備費用などです。これらを含めると15万円から20万円程度は必要になると考えておきましょう。
里帰り出産する場合は交通費なども別途必要です。出産前に計画的に準備しておくことがおすすめです。
また、子どもが小さいうちは、病院へ行く機会が何かと多いものです。子育て世帯の医療費負担を減らすために「乳幼児医療費助成制度」(自治体によって名称が異なる)があります。乳幼児医療証を取得すると、病院の窓口で負担する医療費が安くなったり無料になったりします。
各自治体によって制度の内容が違うので、住んでいる自治体の助成内容について出産前に確認しておくとよいでしょう。
乳幼児期は貯蓄して将来の教育費を蓄えよう
子どもが生まれたら、「児童手当」が支給されます。3歳未満は月額1万5000円(2017年現在)です。また「乳幼児医療費助成」があり、病院にかかった医療費の一部または全部が助成されます(自治体によって金額や年齢制限が異なる)。
こういった妊娠や出産に関係した制度の利用などは、会社や市町村窓口で申請するものが多くあります。ママと赤ちゃんが入院している間に、パパが出生届などの役所の手続きと一緒にやってくれるとママは助かります。
乳幼児の頃は、おむつやミルクなどの消耗品で、月平均2~3万円かかります。しかし、子育ての費用は小さい頃よりも高校生、大学生になるにつれ高額になります(上図参照)。
できるだけ児童手当には手をつけず、大学の教育費にあてられるように貯蓄しておくのがおすすめです。
子どもが生まれてから中学生ぐらいまでの間にどれだけ準備ができるかが鍵になります。教育費は進路によって大きく変わります。生まれてすぐから過度に心配する必要はありませんが、親としてどこまでしてあげるのか、してあげられるのかを夫婦で話し合いましょう。
ママの産後の働き方も、その後のライフプランに大きな影響を及ぼします。上の図のように、ママが産後も働き続けた場合と子どもが6歳のときにパート・アルバイトで再就職した場合では、2億円以上の差が生じることがあります。
共働きの場合、保育料が高くなったり、雑費などの支出も増えたりする傾向にありますが、子どもが小学生になると、ママに収入があることのメリットの方がはるかに大きいです。
関連書籍
家族を笑顔にする パパ入門ガイド(池田書店)
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