準備は年少から? 保育園児は不利? 「お受験ガチ勢」の親が具体的にしていること
かつてはごく一部の人にしか縁のなかった小学校受験。しかし最近では共働きの親御さんからも注目を集め、年々受験者数が増加しているのをご存じでしょうか。
しかし小学校受験には、「親が多くの時間や労力をかけて準備をしなくてはならない」というイメージがあります。共働き家庭だと、やはり不利なのでしょうか?
私立小学校教諭として18年勤務されたなごみゆかりさんが、受験に対して特に熱心な親御さんがしている事をご紹介します。
※本稿は、なごみゆかり著『忙しいママでもできる! 私立小学校を受験しようと思ったら読む本 』(日本能率協会マネジメントセンター)から、一部抜粋・編集したものです。
年少の秋から準備する
小学校受験は、まだ言葉の習得もおぼつかない年少さんのころから取り組む方も多いです。わたしの教員時代には、学校見学に来られたママに「お子さまは何歳ですか?」と尋ねたところ、微笑んでご自分の大きなお腹を差し示す方がいらっしゃって「まだご妊娠中のうちからご検討されているのですね」と、たいそう驚いたものでした。
「準備が早いから」「ゆっくりだから」と一喜一憂することはありませんが、早ければ親御さんがお子さんの成長をゆったりと見守りながら、「いまできること」を焦らずできる利点があると思います。もちろん、年長さんから準備されたとしても、それまでお子さんがのびのびと経験してきたことがしっかりと成果に結びつくこともあります。お子さんの性質や親御さんのお子さんへの子育ての指針を考えながら準備されてはいかがでしょうか。
学校見学に早めの時期に行く
学校見学は親子ともに、その学校への入学の気持ちを高め、受験の日までワクワクした気持ちを持続するためでもあります。複数の学校を希望の学校として選ぶ場合もあるかもしれませんが、どの学校にもよさがあります。時期にゆとりをもって見学に行くことで、学校説明会でわんさか人が集まるときとは別の、自然な児童・教員の姿を見られるメリットもあります。
学校の噴水やその周りの自然の美しさに感動したり、大きなグラウンドに夢を馳せたり、通う児童の活発で仲のよい姿にあこがれを抱いたり…と、より具体的な、入学への強いイメージを持てることにもつながります。
このように、学校の様子を早めに見られることは利点だらけなので、もし早めに足を運べそうでしたら親子で気持ちを高めるためにも行かれてみてはいかがでしょうか。ただ、学校によっては、コロナ以後の対応として、見学受付の日が決まっているなど、制限がある場合があります。事前に確認してみるとよいでしょう。
学校の先生に顔を覚えてもらうレベルの頻繁さ
非常に熱心な親御さんの中には、学校見学も含め、学校に足を運べるすべての機会に出席される方も何人もいらっしゃいました。もちろん、それだけで合否に関わるわけではないのですが、熱心さは伝わります。
中には受験では惜しくも合格にはならなかったけれども、その後編入試験にチャレンジして見事合格を果たしたご家庭もありました。場合によりけりとは思いますが、こんなご家庭は、親子ともに「学校が大好き!」「友達が大好き!」「先生が大好き!」となることが多く、私が知る子も終始笑顔で学校生活を過ごし、また卒業するまで(中学入学後も)高い成績を保ちながら、意欲を持って生活していました。これだけ惚れ込んでくださることは、学校にとっても教員にとっても、ありがたく幸せなことです。
保育園に通わせている親は不利なのか?
そんなことはありません! たしかに以前は、生活の大部分をお子さんの受験のためにささげていらっしゃる専業主婦のママが多かったと思います。しかし現在、小学校受験を考えていらっしゃる方は多様で、共働きのご家庭は急増。お仕事に励みながらも、お子さんのために尽力されるご家庭が多いです。
わたしが勤務していた学校でも、就職当時と比べると、共働きのご家庭がかなり増えました。また、保育園出身のご家庭も多くなっています。
わたしの個人的な印象を申し上げますと、保育園出身のお子さんのほうが生活力は高く、給食や着替えのスピード、列に並ぶ際のスムーズさなど、とりわけ学習面以外のことについて秀でていたお子さんが多かったように思います。
ただ、親御さんが入学後、例えば、「うちは働いているから、~~できません」というのはやっぱり難しい、と思います。
学校側としては、正直なところ「それはわかった上で本校を選んで入学されていますよね?」という気持ちがあります。またこのあたりは、私学では「誓約書」などを親御さんに一筆書いていただき、同意をいただいてからご入学いただいています。この点は、しっかりとお考えいただきたいところです。
関連書籍
忙しいママでもできる! 私立小学校を受験しようと思ったら読む本
年々受験者数が増加する小学校受験。
かつてはごく一部の人しか知らない世界と思われてきたが、共働き世帯の参入が進み、中学受験ほどではないが盛り上がりを見せつつある。
その理由として、コロナ禍で私立の方が公立よりも対応がスピーディであったことや、中学受験の過熱や大学入試改革などを踏まえて早期に進路を決めてしまいたいというニーズもあると思われる。
ただ、どういう子どもが小学校受験に向いているのか、家庭でどういうことができるのかというと、まだノウハウが知れ渡っているとはいえず、一部のインナーサークル内で情報が流通している印象が強いのではないだろうか。書籍の多くも塾関係者のものであり、塾への誘導のために、根幹にかかわる部分は避けて記述しているのが実情である。
しかし、何となく興味を持つ人も増えている中で、とりあえず小学校受験とはどのようなもので、受かるにはどうすればいいのか、知りたい人が増えていると思われる。
そこで本書では、私立小学校に長年勤務した著者が、「どういう子どもに入学してほしいか」「そういう子どもをどうやって育てたらよいか」ということを解説する。
小学校受験初心者がこれからどういう考え方で、どういう取り組みをしていけばよいかを伝える。家庭でできる入門書。