料理コラムニスト・山本ゆりさんを“子育ての罪悪感”から救った娘の言葉

山本ゆり
2024.02.01 13:24 2024.02.01 11:50

山本ゆり

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テレビやブログのお仕事で大忙しの山本さん。子育てでよく悩むこともあるけれど、子どもに”好き”ということだけ伝われば大丈夫! とステキな笑顔で話していただきました。(取材・文:社納葉子)

※本稿は、『のびのび子育て』2020年10月号より転載したものです

イライラの原因は自分にある

女の子の後ろ姿※写真はイメージです

私には9歳と5歳の娘がいます。長女のアミは負けず嫌いで活発で天真爛漫。次女のナミはシャイで甘えんぼうです。母となって、そろそろ10年になります。特にアミにはガミガミと言い過ぎてしまうところがあります。

イライラの原因を考えると、結局、自分にあることが多くて。ひとつは自分が時間に追われているとき。締め切りが迫っているときに子どもがぐずると、普段許せることでも、ついイライラしてしまいます。もうひとつは、子どもの失敗を親である自分の失敗のように感じてしまうこと。

「子は親の鏡」と言いますよね。たとえばアミが宿題を忘れたら、親である私のいたらなさが露呈したような気がするんです。「ああ、私がいい加減だから」と自分にイライラして、つい子どもにガミガミと言ってしまう。本当に、ダメな母親なんです。

でも、言い過ぎてしまったときは、自分の気持ちが落ち着いてから、「さっきは言い方が悪かったわ。ごめんな」と謝ります。実は、私の母がそうしてくれていたんです。学校から帰ってきたら、「今朝は怒ってしまったけど、言い過ぎたと思う。お母さんが焦ってたから、つい言ってしまって、ごめんね」と謝ってくれました。

そんな母を信頼していたので、私も見習いたいなと思うようになっていました。でも「謝ったら負け」みたいな気持ちもあって(笑)、なかなか母のように素直には言えません。

あるとき、「叱らない子育て」がテーマの本を読んでいたら、それを子どもが見つけて、「お母さん、この本読んで子育ての勉強してるんやろ? 私も叱られるん嫌やなー」なんて言うんですよ。

「叱るときには叱らないと、子どもはちゃんとした大人になれへんから、お母さんは叱るで」と言い返しましたけど(笑)。でも叱る意味や叱り方はちゃんと考えないといけませんね。

自分の中の子育ての軸

草原を歩く親子※写真はイメージです

自分に子育てに対する考えの「軸」がないことも悩んでいました。たとえば、きっちりしている友だち親子に会った後は、いきなり「今日からごはんの後は、必ず読み聞かせするぞ!」と言い出したり、逆にゆるい友だち親子と一緒だと、そんなにちゃんとせんでええか〜となったり、意志がブレブレ(笑)。

子どもも戸惑いますよね。子育てって「正解」がわからないから、いろいろなことに惑わされてしまいます。

でも最近、「親がせずとも、子どもはいつの間にか成長してるんだな」と感じることが増えてきました。おやつがあっても「もうお腹いっぱいだからいらない」と言ったり、保育園の先生、近所のお母さんとの会話の中から、問題を解決したり。子どもがどう育つかは、母親の責任だと思い込んでいましたが、子どもの世界は「お母さん」だけじゃないんですね。

いろいろな人を見て、それぞれの良いところや悪いところもわかって、自分で判断している。母親、父親だけが「鏡」だと思わなくてもいいんだと思えるようになってきました。

それに子どもって、意外とたくましいんです。あんな言い方をして傷つけてしまったかな、とものすごく後悔して謝ったら、「何のこと?」とケロッとしていたり、子どもが生まれたときから働いてきたので、「小さな頃から保育園に預けてかわいそう」と思っていたら、娘は「楽しかったー」と言います。

迎えに行ったときにポツンと1人で残っていたこともあり、「あのときは最後になってしまってごめんね」という話もできるようになりました。

特にうれしいのは、娘たちが私の仕事を応援してくれること。仕事も子育てもどっちつかずな気がして、罪悪感で何度もつぶれそうになりましたが、がんばってきてよかったかもと思えるようになりました。

「好きだよ」「大切な存在だよ」という気持ちを伝えること

手をつなぐ親子※写真はイメージです

私は、叱り過ぎてしまうことばかり気にしていましたが、「好きだよ」という気持ちを伝えることも大事だと気づきました。

娘たちは私が驚くぐらい「ママ、好き」と言ってくれます。もしかして、私からも、もっと「好き」と言ってほしいのかと思い、「ママも好きやでー」と意識して言うようになりました。強気だけど寂しがり屋のアミにはしつこいほど言います。

私は子育てがまだまだ途中で、毎日悩んでいるので、偉そうなことは言えません。ただ、幼い頃にあんなに怒らなくてよかった、もっと気楽に、機嫌の良いお母さんでいてあげればよかったと思います。でも、当時あれだけ怒ったことを子どもは覚えてないそうで、そこはホッとしています(笑)。

子どもの好き嫌いも、前は自分の責任のように感じていましたが、食べる子は食べるし、食べない子は食べない。栄養バランスも1週間や1カ月単位でつじつまがあえば大丈夫と思うようにしました。今からでも、おおらかに子どもの成長を楽しめたら……と、毎日思っているんですけどね。なかなか難しいです(笑)

山本ゆり

大阪生まれ&在住。忙しいママにピッタリの簡単にできるアイデア料理と料理ブログが大人気。料理本『syunkonカフェごはん』シリーズ(宝島社)は、累計630万部超えのベストセラー。2児の母。
■ブログ:含み笑いのカフェごはん『syunkon』 https://ameblo.jp/syunkon/

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