困難に強い子を育てる親の言葉 アドラー心理学の「勇気づけ」とは?
アドラー心理学の教えは、「勇気づけ」という技法がベースになっています。
勇気づけとは、相手をほめ言葉で評価するのではなく、嬉しい気持ちに共感すること。この姿勢で親が関わると、子どもは自ら困難に立ち向かう力を身につけることができるのです。
アドラー心理学カウンセリング指導者の岩井俊憲さんが、子育てに取り入れたいアドラー心理学の基本を解説します。
※本稿は、 岩井俊憲著、藤井昌子イラスト 『マンガでよくわかる アドラー流子育て【新版】』(かんき出版)から一部抜粋・編集したものです。
勇気づけとは?
アドラー心理学は、勇気づけの心理学ともいわれています。勇気づけとは、ひと言でいうと、「困難を克服する活力を与えること」です。これができると、自分のことにおいても、人間関係のことにおいてもぐっと悩みが減り、わたしたちは人生を豊かに生きていくことができます。
勇気づけはどんな人にも使える!
・勇気づけは、自分自身にも他人にも、実践することができます。
・勇気づけは、元気な人をより元気にするだけでなく、失敗したり、落ち込んでいる人やうつ状態などの人にも、活力を与えることができるという特徴があります。
勇気づけのセリフ例
勇気づけの例を紹介しておきましょう。言葉だけでなく、態度や表情も含めて相手に共感しながら伝えることで、相手の心に響きます。
「○○ちゃんの今回の結果は、おかあさんもとってもうれしい!」
→相手と一緒によろこぶ
「○○ちゃんが手伝ってくれて、とっても助かったよ!」
→役立ってくれたことを伝える
「この部分は○○ちゃんががんばってきたところだもんね」
→努力してきたプロセスに注目する
「〇〇ちゃんがいてくれてしあわせだなぁ。ありがとう!」
→相手の存在そのものに感謝する
勇気づけで知っておきたい4つのこと
ここでは、これからあなたが勇気づけを実践していくにあたって、心得ておいてほしい4つのことをお伝えします。
1.ほめることは勇気づけではない
ほめることはごほうびの一種です。子どもはかえってプレッシャーを感じて、意欲を失ってしまいます。
たとえば、100 点をとってきた子どもに「えらいね。次もがんばるんだよ」と言うと、「ボクはこれからもずっとがんばり続けなけきゃ認めてもらえないんだ…」と多くの子どもはかえって意欲を失ってしまうのです。
2.激励は勇気づけではない
親は激励すれば、子どもが奮い立ち、やる気を起こすと思い込んでいます。そのため、子どもが何か失敗したり、落ち込んだりしたとき、親はつい「大丈夫!」「がんばれ!」「もっと元気を出して!」と励ましてしまうのです。
ところが、激励された子どもはプレッシャーを感じます。「ボクの気持ちをわかってくれない」と感じたり、皮肉に受け取ったり、負担に感じたり、焦ったりします。そして意欲をなくしていきます。
3.ともによろこぶことが勇気づけ
勇気づけとは、子どもの側に立って、子どものよろこびを感じ取り、ともによろこぶことをいいます。子どもの努力の結果に対して、ごほうびやほめ言葉で評価するのではなく、子どものうれしい気持ちに「共感」し、ともによろこびます。
子どもにつらいことがあったとしても、「この子はきっと自分で克服できる」と子どもを信頼し、尊敬し続ける親の姿勢が子どもに安心感を与え、子どもを勇気づけることになるのです。
4.ともに悲しむことは、かならずしも勇気づけにならない
子どもが悲しんでいるときに、ともに悲しむことは、多くの場合、勇気づけになりません。なぜなら、これは、子どもをあわれむ「同情」になり、子どもを支えていることにはならないからです。
勇気づけは、お互いに信頼して、はじめて成り立ちます。同情では、子どもを尊敬していることにはなりません。同情された子どもは、自分をみじめに感じます。子どもの悲しみを「理解」することと、ともに「悲しむ」こととは違うのです。
マンガでよくわかる アドラー流子育て(かんき出版)
感情的に怒鳴ったり、叱ったりすることなく、子育てができていますか?
「言うことを聞かない」「約束を守らない」「ビックリするような行動をとる」 ……など、子育ては、思いどおりにいかないことの連続ですよね。
そんなときに、とても役立つ教えがあります。 それが、アドラー心理学をベースにした子育て法です。
本書は、岩井氏が主宰するヒューマンギルドで大人気の「SMILE講座」をベースにした、アドラー流子育て法をわかりやすく、実践しやすくまとめたマンガです。