100%成功する男女の産み分け方法はある? 産婦人科医が解説
「できれば女の子(男の子)が欲しい……」と、これから生まれる子どもの性別を希望する親御さんも少なくありません。男女の産み分けの確実な方法は存在するのでしょうか?
産婦人科医の遠藤周一郎先生の書籍、『はじめてでもよくわかる 知っておきたい妊娠と出産安心BOOK』より、「産み分けの真実」についてご紹介します。
※本記事は、遠藤周一郎著『はじめてでもよくわかる 知っておきたい妊娠と出産安心BOOK』(KADOKAWA)より、一部を抜粋編集したものです。
次は男の子 or 女の子が欲しい!
「次は絶対に女の子が欲しい!」「産み分けの方法を教えてください!」などの要望をいただくことは、実は結構あります。産み分けについて調べてみると、男の子を決定するY染色体と女の子を決定するX染色体の性質の違いから産み分けようとしている情報が多いみたいです。
性染色体の重さが違う、腟内を酸性・アルカリ性のどちらかにする、X染色体の寿命のほうが長い、さらにはセックスでの女性の感度で産み分けができる……。ネット上でいろいろな方法が載っていますが、正直どれもマユツバと私は思います(キッパリ!)。
X染色体とY染色体の重さが違うって……確かにものすごく微々たる範囲で違うと思いますが、大学院でガチな研究をしていた身からいわせてもらうと、精液はネバネバだし、精子は球体ではなくて尻尾があって長い形状なので、この重さの違いを遠心分離機できれいに分けるなんて絶対に無理ですよ……。産み分け関連の情報は人気が高く、とてもたくさんのサイトがありますが、よくよく見ると結局は宣伝目的のサイトだったりします。なので、しっかりと情報を選別をするよう心がけてくださいね。
また男女産み分けを自費診療でやっている産婦人科もありますが、正直、「いい商売してるなあ~」としか思いません。どんなに頑張っても産み分けの確率は100%ではないからです。しかも、結果がわかるのは、つわりを乗り越え、胎動も感じ始める20週過ぎくらいからなんです……。この週数になってから、たとえ希望する性別と違ったとしても怒り狂う妊婦さんは正直あんまりいないでしょう。
逆に希望の性別だった場合は、先生が「産み分けが成功したね! よかったね!」と声をかけて、妊婦さんも「あの病院で産み分けが成功しました!」と宣伝するのかと思うと……。
一方で、産み分けをほぼ100%で成功させる方法があります。それは着床前診断という方法で、受精卵がある程度成長した段階(4細胞期〜胚盤胞)で、細胞をいくつか取り出して検査するものです。
しかしこの方法は、男女産み分けをするためのものではなく、流産率が高いことが予想される時に、あらかじめ染色体異常の胚を選択的に取りのぞいて、妊娠成功率を上げるために行われるものです。自然妊娠ではなく、体外受精での妊娠となり、今の日本のガイドラインでは産み分けを希望する人が全員できるわけではありません。
結局のところ、男女の産み分けは、何を信じて、どこまでトライするかは皆さんの判断に委ねられているのです。
【遠藤先生の伝えたいこと】
・男女産み分け方法は、どれもマユツバもの!?
・究極の方法は着床前診断だが、本来産み分けを目的とした検査ではない
『はじめてでもよくわかる 知っておきたい妊娠と出産安心BOOK』(遠藤周一郎著,KADOKAWA)
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