キレやすいわが子に必要なサポートは? テレビ番組でもおなじみの澤口俊之先生に、「感情をコントロールできる力」を育てる方法を教えていただきました。

 

子ども

 

前編:脳科学的には何が違う? キレやすい子と落ち着いた子

 

スマホとゲームは要注意! 「感情をコントロールできる子」を育てよう

 

感情をコントロールするのは、脳の「実行機能」です。実行機能とは、感情や思考、行動を状況に応じて適切に制御する能力で、脳の前頭前野がこれを司っています。実行機能がきちんと機能していると、怒りの感情は10秒程度で収まります。

もし前頭前野の働きが妨げられると実行機能もうまく働かず、感情が制御できません。前頭前野の働きを阻害する原因はいくつかありますが、特に子どもの場合は、スマートフォンやテレビゲームが大きく影響することがわかっています。

他に、ストレスも前頭前野の働きを悪くします。子どもにとっては、お母さんの不安やイライラは大きなストレスです。

スマホやテレビゲームを子どもから遠ざけ、お母さんがおおらかな気持ちでいることが大切なのです。

 

しっかり時間を区切ろう! 「規則正しい生活」は脳科学的にとても重要!

 

感情コントロールの基盤、脳の実行機能を高めるために、効果的な方法があります。

それは「時間制限法」と言って、時間がきたら自分の行動をやめる、という訓練です。食事にしても遊びにしても時間を区切り、終わりの時間が来たら、食べ残しがあろうが食事はおしまい。遊びの途中でもおしまいにする。そうやって、「やりたいことを、自分でやめる」、つまり自分の行動を制御する力を鍛えていくのです。

「行動の制御」と「感情の制御」は、脳のレベルでは同じなのです。そのため、時間によって行動を制御することを覚えることで、自動的に感情もコントロールできるようになる、というわけです。

この力は、小学校に上がるまでには身につけさせておいたほうがいいでしょう。

 

ケンカも上等!「1人遊びより集団」で遊ばせよう!

 

もう1つ、感情をコントロールする力を育むのにいいのが、たくさん遊ぶことです。できれば1人遊びではなく、集団の中で遊ばせることが重要です。

たとえば公園で遊ばせると、遊具を取り合ってケンカすることもあるでしょう。その体験がとても重要です。「怒って、相手の子を叩いたらどういうことになるか」「それは自分にとって得なのか損なのか」といったことを知りますし、他人との譲り合いも学ぶことができます。

つまり、集団の中での遊びを通して自然に、自分の感情や行動をコントロールする力が鍛えられるのです。

外に出て、思いきり体を動かしながら遊ぶのが理想ですが、家遊びでも構いません。その場合も複数人数で遊ばせるようにしてください。

 

日本人は世界で一番好奇心旺盛な種族!?

 

子どもはいろいろな行動をします。特に幼いときは、「どうしてこんなことをするの?」と不安になるような行動をするものです。「キレる」も、その1つでしょう。

でも、それらは子どもとしてはあたりまえの行動なので、気にしすぎないことです。親が不安がったりイライラしたりしていると、子どもの心も不安定になり、自分の感情をますます制御できなくなります。

意味なくキレる場合を除いて、キレる(衝動性が高い)のは、好奇心が旺盛なためです。好奇心というのはもともと、自分が置かれた環境や状況に適応するためのものです。

人類はアフリカが起源だという説があります。この説に基づくと、食料や住みやすい場所を求めて、アフリカから遠く離れた日本にたどり着いた私たちの祖先は、きっと好奇心が旺盛で、環境への強い適応力をもっていたのでしょう。

集団の中でもうまくやっていく。ピンチに立たされてもなんとか切り抜ける。これが適応力です。人間は、適応力を身につける過程で知恵がついていくのです。

ですから、意味があってキレている場合、それは知能の発達のために必要な行動の1つですから、おおらかな気持ちで子どもの成長を見守ってあげてください。

一方で、上記でご紹介した方法で、感情を制御する力を高めていく必要があります。すべてのしつけを家庭で行なうのは限界があると思いますので、保育園や幼稚園に助けてもらうのもいいでしょう。その場合、できれば外遊びと箸使いの練習(前頭前野の発達を促します)を積極的に行なっている園がおすすめです。

 

 


 

「PHPのびのび子育て」 2月号より

 

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本記事は、「PHPのびのび子育て」2019年2月号特集【3・7・10歳で変わる! 心が荒れる子・おだやかで強い子】より、一部を抜粋編集したものです。

 

【著者紹介】

 

澤口俊之(脳科学者)

北海道大学卒業、京都大学大学院理学研究科博士課程修了。エール大学医学部研究員、北海道大学医学研究科教授を経て、2006年に人間性脳科学研究所所長に就任。'11年より武蔵野学院大学国際コミュニケーション学部教授を兼任。フジテレビ「ホンマでっか!?TV」などのテレビ出演、著書多数。