いじめない子になるには

有光興記
2023.10.13 16:02 2023.02.15 14:46

人をいじめるのは、自分に自信がない証

ここまで書いてきたことを前提に、いじめない子になるにはどうすればいいのかを考えましょう。まず、人をいじめるのは何らかのフラストレーションがあり、イライラしているからです。

先ほど書いたように、イライラして不安定な気持ちを外に出そうとし、それが「いじめ」という形で出てしまうんですね。しかし本当は自信をなくしている状態です。人を蔑さげすむことで自分の価値を何とか上げようとしているのです。

自信をなくしている理由はさまざまでしょう。何かあったのかもしれないし、日頃から「あなたはダメだ」というメッセージを受け続けているのかもしれません。とにかく、自信をつけさせることが必要です。そして親が子どもを認め、褒めてあげることは何よりの自信になります。

しかし口先だけでいくら褒めてもダメです。何でもかんでも「すごいね」ではなく、本当にがんばることができたことについて気持ちを込めて褒めてあげてください。これは小さい頃からの積み重ねです。

何か問題が起きてから慌てて褒めても、子どもはすぐには変わりません。時間がかかるのは覚悟しつつ、子どものがんばりをていねいに褒めていけば、少しずつ自信を取り戻していくでしょう。

いじめの首謀者でなくても、結果的に加担してしまうことがあります。むしろこういう立場の子どものほうが圧倒的に多いです。「あいつを無視しよう」と言われた時、断るのはとても難しい。大人でも同じです。

ただ、あらかじめ練習しておけば、できないことではありません。断る力を身につけておくのです。そして、ここでもやはり自分に自信があるかどうかがポイントです。本当の意味での自信がついていれば、「こんなことをする子と無理につきあう必要はない。自分には他に友だちがいる」と考えられます。

いじめない子になるには、まず自分に自信をもてること。しっかり子どもを見て、タイミングを逃さず褒めてあげてください。

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有光興記

有光興記

1971年兵庫県生まれ。関西学院大学文学部総合心理科学科教授。博士(心理学)、臨床心理士。カウンセリングや認知行動療法、マインドフルネスをベースに、発達障害の子へのソーシャルスキルトレーニングを実践している。監修書に『発達障害の子のコミュニケーション・トレーニング』『発達障害の子の「イライラ」コントロール術』『発達障害の子の「友達づくり」トレーニング』『発達障害の子の「励まし方」がわかる本』(以上、講談社)がある。