思わず子どもにガミガミ言いたくなったときの、とっておきの対処法

おやのめぐみ
2023.03.29 13:56 2023.03.13 16:21

1.黙って見守る

真剣な顔の子ども

子どもって本当に予想外のことをしたがります。

息子が3歳くらいの頃、近所の路地に乗り捨てられた軽トラックが放置されていたことがありました。そこに近隣の中高生などが通りすがりに空き缶を投げ入れ、荷台が空き缶でいっぱいになっていたのです。ある日それを見つけた彼は、仲良しのKくんとその荷台によじ登り、空き缶をどんどん路地に投げ落としていきました。軽トラックの荷台から投げ捨てられた空き缶は、カランカランと小気味のいい音を立て、路地にコロコロ転がっていきます。

お互いに気心が知れたKくんのママと私でしたから、とにかく2人の好きなようにさせたのですが、2人で何かにとり憑りつかれたように夢中になって投げ落としているうちに、荷台はすっかり空っぽに。本人たちも達成感(?)で満たされ、なんだか気持ちよさそうでした。

そこでKくんのママと私は、次の作戦に出ました。家からゴミ袋を持ってきて、「じゃあ次はここに入れてくださ~い! どっちがいっぱい入れられるかな?」と声をかけたのです。路地のあちこちに転がった空き缶は、2人が競い合ってあっという間に今度はゴミ袋の中に。

結果的にゴミ溜めと化していた軽トラックの荷台はすっきり片付きましたし、息子たちも重労働(?)を終えてすがすがしい表情になっていました。

「誰が口をつけたかわからない空き缶を触らせたの?」「中身が残ってたら洋服や手足が汚れるじゃない?」「危険なものがあったらどうするの?」という声が聞こえてきそうですが、ひと通り命に関わるような危険がないことは確認していました。そして、コロナウイルスが蔓延する前だったこともあり、こういうとき、しばらく様子を見てもいいと私たちは考えたのです。

今なら手袋やマスクはさせたかもしれないし、口をつける部分には絶対手を触れないことや、中身が入っている缶は親に渡すことなど、約束したかもしれませんね。いずれにしてもしばらく様子を見ていて、「これは危険だ」と判断したら、そのときにストップをかければいい、と考えたわけです。

もしどうしても許せないなら、口をつける部分には絶対手を触れないことや、中身が入っている缶は親に渡すことなど、約束させてもいいですね。そしてしばらく見ていて、「これは危険だ」と判断したら、そのときにストップをかければいいわけです。

最初の数個を投げ落とした時点で「何を汚いことしてるの!」と怒鳴って「汚いからダメ!」と禁止することもできたでしょう。でも、そうしていたら欲求不満が残り、彼らのすっきりした表情を見ることはできませんでした。

子どもたちって大人が想像できないようなところに楽しみを見つけるものです。それを大人の価値観で否定することはできるだけ避けるのが賢明です。

子どもたちが自分たちで思いついたことをやってみるとき、うまくいくときもいかないときもあるでしょう。でも子どもたちは成功だけでなく、失敗からより多くを学びます。

大人から見たら一見意味のないことでも、それを経験することによって彼らの中に植え付けられた種が、何年も経って芽を出し、実ることだってあるのです。

2.「どうしてだろう?」と考えながら見守る

虫眼鏡と子どもたち

ただ黙って見守るのが難しければ、どうしてそんなことをするのか考えながら観察してみませんか?

答えがすぐに見つかるときもあれば、まったく見当もつかないというときもあるでしょうが、「どうしてだろう?」と考えながら見つめることで自然にお子さんとの間に距離ができ、その分冷静になれます。

そうすれば突発的な怒鳴り声は出てこなくなるはずです。有無を言わさない勢いで、お子さんが楽しんでやっていること、やろうとしていることを力ずくでやめさせることもなくなるでしょう。

特に活発なお子さんの場合、何かやろうとしたら反射的に周りの大人がストップをかける、ということが少なくありません。それまでの経験から「またなんか危ないことを始めた」と決めつけられて、取りかかる前に阻止されてしまうのです。

でも、これでは何一つ自発的に経験することができません。 反射的に止める前に「何をしたいのかな?」「どうするつもりかな?」と少し距離を置いて観察してみると、今までとは違ったお子さんの様子が見えてくるかも。次に待っているのは意外な展開かもしれませんよ。

たとえば椅子の上によじ登ろうとしているところで「ダメ」と止めないで、そのあとどうしたいのか、何が目的で登ろうしているのかなどを考えながら見守るわけです。

椅子によじ登ったことだけでニッコリと自慢げにママの顔を見て満足する場合もあれば、続いてテーブルに上ろうとするかもしれません。椅子の上に立ち上がって、いつもとは違う風景を楽しそうに眺めるかもしれません。テーブルの上に何かほしいものを見つけてそれを手にするかもしれません。

じっと見守っていれば、「なるほど、それがしたかったのね」「そうか、それがほしかったのね」と納得できる答えが見つかるかもしれないのです。

また、頭ごなしに禁止せず「どうしてかな?」と見守っているうちにお子さんのしたいこと、関心のあることがよくわかってきます。「ああ、うちの子はこういうことがしたいんだ」「こういうのが好きなんだ」とわかるだけで、その後の子育てに大きなヒントが得られるはずです。