おとなしい子は「じっくり考える子」
大人受けのよい言葉づかいをする子ども
読解力は読む力だけでなく、話す力も大切です。自分で言葉を使って話すことで、他人や本の作者が、どんな気持ちでこの言葉を使ったのか、その心情を汲むことができるからです。
最近、テレビなどで、大人顔負けの受け答えをしている子どもを見ることが多くなりました。周りの人たちには、「素晴らしい」とほめられ、評価が高いのですが、たぶんその子は、本当の自分の言葉ではなく、大人受けがよいことがわかって話しているのではないかと思うのです。
それを評価してしまうと本来の幼い自分と大人っぽいポーズをとっていることの違いがわからないまま育ってしまいます。
このような子どもが増えたのは、子どもがじっくり考えて答えを出すのを待てない、今の社会の影響だと考えています。
子どもの答えをゆっくりと待つことが大切
話す力は、あらかじめ用意しておいた言葉や反射的に出る言葉とは違います。自分の言葉で話すには、内容のあることを自分で組み立てなければなりません。
この力を育てるには、まず親が子どもの言葉や意見に、じっくりと耳を傾けることが大事です。
親が待っていてくれると、子どもは時間をかけて、迷いながらも言いたいことが言えるのです。子どもがだまっているときには、「わかっていないのでは?」ともどかしくなりますが、ここはぐっとがまんしてください。
子どもは、周りの人が話していることを、じっと観察していることがよくあります。
そして、頭の中では、感じたことを正確に話そうと自分で組み立てているのです。やっと口を開いて出てきた言葉がとんちんかんでも、否定しないでください。子どもの表現力をおもしろがる気持ちの余裕を持てるといいですね。
即答できるよりも、どういうふうに言ったらいいのかな、といろいろ考えてから話すことが、相手の心情や気持ちを理解する上で大切なのです。
子どもの本当の「読解力」をグッと引き出す方法
多くの子どもをみてきた有名進学校の教諭が、勉強はもちろん、理解力や判断力などにもつながる大切な読解力を伸ばすために、親ができる具体的な方法を紹介します。