「自制心と思いやり」のない子は将来…? “発達格差”が生まれる本当の理由

森口佑介
2023.04.04 20:00 2023.04.04 19:45

思いやりにみられる格差

笑顔の子どもと親

向社会的行動についても、大きな格差がみられます。保育園をみてみればわかるとおり、向社会的な子どももいれば、そうではない子どももいます。子育てや友達などの様々な要因に子どもの向社会的行動は影響を受けます。

840人の4~9歳児を対象にした私たちの調査では、「他の子どもたちと、よく分け合う(おやつ・おもちゃ・鉛筆など)」や「自分からすすんでよく他人を手伝う(親・先生・子どもたちなど)」などの項目が含まれていて、その質問を「あてはまる(2点)」「まああてはまる(1点)」「あてはまらない(0点)」の3択で答えます。

思いやりの得点10点満点ですが、こちらは得点が高いほど思いやりがあるということになります。私たちのデータでは、支援が必要とされる0〜4点の子どもが、約30%もいました。幾分支援が必要な5点の子どもも加えると、840人のうち、50%程度の子どもが支援を必要としているということになりました。

これは国内の他の調査と比べるとだいぶ高いので、3000人規模の別の国内のデータをみてみると、5点以上の子どもは約30%でした。それでも、支援が必要だとされる子どもの数は少なくありません。

このように、向社会的行動を示しやすい子どもと、そうではない子どもが、くっきり分かれるようです。

子どもの発達格差 将来を左右する要因は何か

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子どもの将来に影響を与えるこれらの能力の発達に見られる格差を「発達格差」と名付け、その実態および改善策を紹介します。子育てに悩む親、そして教育関係者に必読の一冊。