子どもの問題行動をどう注意する? 親がしがちな「効果のない叱り方」
2つ目のカード「一緒にやってみよう」
2つ目の青カードです。ここはとっても簡単です。
さっき練習していただいた「代わりの行動を教える」を使って「~してね」と子どもに伝えたら、それとセットで「じゃあ、一緒にやってみよう」と言って、その場で子どもと一緒にやってみる、というだけのものです。
「~してね」→「一緒にやってみよう」
これだけです。
では、さっそく練習してみましょう。楽しく小芝居をしてみてください。どうぞ。
ノリノリの太郎くんに冷や冷や
太郎くんの希望で、ごはん茶碗を買いにお店に行きました。太郎くんは、プラスチックの茶碗から、ママやパパと同じ陶磁器のものにクラスアップすることに胸を躍らせています。
ノリノリな太郎くんは目についた商品を触ろうとするので、ママは冷や冷やしています。
そこでママは太郎くんに「~してね」と代わりの行動を教えつつ、「一緒にやってみる」も実践することにしました。それでは、この順番で練習をどうぞ。
こう言えたらOK!
[代わりの行動] 見たいお茶碗があったらママに言ってね。
[一緒にやってみる] じゃあ、一緒にやってみよう。今見てみたいお茶碗をママに教えて。
一緒にやってみることが一番大事
この流れで、太郎「あの飛行機の絵のお茶碗が見たい!」
ママ「これね。『見たい』って上手に言えたね。ママが取るね。よさそう? ほかのも見ておこうか」
こんなやり取りができると、楽しく買い物ができますよね。今の場面で、「一緒にやってみる」なしで進めると、次のようになるかもしれません。
・極端な例
ママ「太郎くん、見たいお茶碗があったらママに言ってね。そしたらママが取るからね」
太郎「わかった!!」
太郎(スタスタスタ……、キョロキョロ……、茶碗を手に持って……)
「この飛行機のお茶碗がいい!!」
ママ「ちょっと! お茶碗を置いて! ママの話聞いてた? さっきママは何て言ったの!?」
「~してね」と代わりの行動を具体的に簡潔に伝えることは大事なんですが、それだけだと子どもが理解するのは難しいということも多々あります。
子どもも親御さんの言うことをがんばって聞いて、「わかった!」と大きな声で返事をしても、実はあまりわかっていないかもしれません。大人と子どもでは、言葉から行動をイメージする力に差がありますからね。
特に、幼児や小学校低学年であれば人間歴数年のヒヨッコなので、まあ最初は一緒にやっておいたほうが安全ですし、親御さんも怒る頻度を下げることができます。大人どうしでも、言葉だけで行動内容を共有した場合、ちょいちょい行き違いが起きますよね。
それと、「一緒に」という点が重要なポイントです。
「こういうふうにするんだよ。じゃあ、言われたとおりにやっといてね」と言って親御さんが子どもから離れてしまうと、やっぱり子どもがうまくできなくて、結局、戻ってきた親御さんが子どもを叱るオチになってしまうリスクがあります。子どもに「~してね」と伝えたら、とりあえずその場で一緒にやってみる─これが大事です。
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