13歳までの男の子に伝えたい「思春期で変化する心」との付き合い方
心も体も子どもから大人へと移り変わる思春期は、女の子だけでなく男の子も、はじめて誰かに恋愛感情を抱いたり、失恋して傷ついたり……心が大きく揺れ動くこともあるでしょう。
そこで、『13歳までに伝えたい男の子の心と体のこと』(かんき出版)より、思春期を迎える男の子に向けて、揺れ動く心との上手な付き合い方についてお伝えします。
※本稿は、 やまがたてるえ著『13歳までに伝えたい男の子の心と体のこと』(かんき出版)から、一部抜粋・編集したものです。
人を好きになるってどういう気持ち?
<『13歳までに伝えたい男の子の心と体のこと』P.96~99>
人を好きになることは「その人を大切に思うこと」
告白でよくあるシーン。
「好きです! ぼくと付き合ってください」
「わたしも好きだから付き合います。でも付き合うって何をするの?」
と、聞かれたら君はなんて答える?
とても難しい質問かもしれないね。大人の人にもぜひ聞いてみてほしいな。10人いれば10人とも表現が違うかもしれないよ。
ただ、共通した答えがあるなら、言えることは「相手を大切にすること」なんじゃないかな?
好きだから、お互い好き同士であれば、何をしてもいい?
そういうわけじゃないよね。相手がイヤがることをするのは「好き」の感情と反対の場所にあると思うんだ。
本当に大切なのは、相手を思いやること。
相手がされたらイヤなことはしないこと。
そのためにとても必要なことが「想像力」。「もしこんなことをされたら、相手はどう思うかな?」と想像してみよう。
➀相手がイヤな思いをする言葉「トゲトゲ言葉、チクチク言葉をわざと言う」…どんな気持ち?
➁聞こえているけど聞こえないふりをする…どんな気持ち?
➂消しゴムを忘れて友だちが貸してくれないとき…どんな気持ち?
➃杖をついた人が電車に乗ってきたとき席がいっぱい。自分が座っているとき…どうしたらいいかな?
➄道に落し物が落ちているとき…どうしたらいいかな?
➅遊び場でひとりぽつんと寂しそうにしている子がいるとき…どうしたらいいかな?
➆お母さんがイライラ、キッチンで片付けているとき…どうしたらいいかな?
想像力を働かせて、考えを形にしてみよう。君の考えは君のものだから正解不正解ではないよ。次の答えを参考にして、友だちと話したり行動したりしてみてね。
➀トゲトゲ言葉を言われたら……言い返すと相手はもっとトゲトゲになっちゃう…)
→気持ちを伝えてみよう。「その言い方をされると悲しい、イヤな気持ちになる」と言ってみたらどうかな?
➁聞こえているけど聞こえないふり……(自分がされたらモヤモヤ…)
→聞こえていないかもしれないから、もう一度近くで声をかけてみよう。
➂消しゴムを貸してくれない……(自分なら貸すのに)
→ほかの友だちに声をかけてみよう。とても大切な消しゴムで人に貸せないのかも。こだわりがあるのかもしれないね。
➃杖をついた人が電車にのってきた……(大人はスマホばっかり見ているなぁ)
→今日は元気だから、どうぞ、と席を譲ろう。(疲れてくたくたのときは、できないときもあるけど…)
➄道に落し物が落ちている……(困っている人がいるかも)
→拾って交番に届けるか、交番がわからないときは大人に聞いてみたり、そばにいる大人に相談してみよう。
➅ひとりで寂しそうな子がいる……(遊びたいのかな?)
→様子を見て、友だちに声をかけてみるか相談しよう。もしかしたら、ほかの友だちを待っているのかも?
➆お母さんがイライラ……(どうしたんだろう? ボクなんかやったかな?)
→そっとしておくか、何か手伝うか、ここは一番悩むけれど、自分のことをまずはしっかりやろう。ボクが宿題していないのが気になっているときは、お母さんはだいたいイライラしてるかも。
こんなふうに、じつは毎日、人は想像力と言葉と行動でいろんなことを乗り越えたり、考えたりしているんだよね。
とくに人を好きになったときには、勘違いを起こしてしまうことがあるんだ。
相手のことが好きだから、つい自分と一緒に行動してほしくなったり、ほかの人と好きな子が仲良くなるのを見ているのがイヤになってやきもちを焼いてしまったり…。その気持ちを言葉じゃなくて態度で示してしまう(好きなのに無視したり、チクチク言葉を言ってしまう)こともあったりするよね。
でも、相手にイヤなことをしてしまいそうなったときは、「本当に大切にしたいことはなんだろう?」と考えてみて。そして、大きく深呼吸をして、自分の胸に手を当てて考えてみよう。
ハピウサ博士からのメッセージ
失恋しても大丈夫だよ
失敗しても大丈夫だよ
「傷つくのが怖い…」「フラれたらイヤだ!」「失恋したくない!」と多くの人が思っているかもしれないのう。
好きな人ができると、「もっと仲良くなってお付き合いしたいな」と思うもの。でも相手が自分のことを好きになってくれないときは「失恋」という二文字の言葉が待っているのじゃ。
だけど、相手がたまたま自分を好きになってくれなかったのは、「相手の気持ち」の問題であって、落ち込んでもそれは「相手の気持ち」だから変えることはできないものじゃ。
たとえば、相手の理想の人になれるように努力をしたら「好き」になってくれるかもしれないぞよ。
逆にこちらが努力をしなくても「相手の気持ちが変わった」場合は、「好き」になってもらえるかもしれない。すべては「相手次第」ということ。
好きになるか、ならないかは、相手の問題。自分とは違うという切り離しが必要なのじゃ。
「フラれたから自分はダメな人間だ!」
なんてことはひとつもなくて、相手の気持ちは相手の自由であって、別の人間ということを理解しておこう。
ただ、自分にできることは、自分が自分らしく成長しながら、生きること。
失恋しても、その出来事をプラスにして、自分磨きをすることを忘れずにコツコツとレベルアップしていく。そんな生き方をしていたらかっこいいと思わんか?
だからと言って、やっぱり好きな人に「NO」と言われたら「悲しい」のう。その感情をなかったことにするのではなく、悲しいという気持ちを大切にすることで、より一歩素敵な大人へと成長していけるじゃろう。それに、人に優しくできる人って、悲しみを乗り越えた人だったりするんじゃ。
いろんな経験、いろんな感情を味わうことが自分を成長させてくれるぞ。
だからもし、好きな人がいて告白したいけど、告白できなくてつらいときは、勇気を出してみてもいいし、自分が自分で納得するまでタイミングを待ってみてもいいと思うぞよ。
告白しない選択も、告白する選択も、どちらも考えて悩む時間も、きっと君を成長させてくれるのじゃ。
関連書籍
13歳までに伝えたい男の子の心と体のこと(かんき出版)
男の子の体と心のことをマンガでやさしく・わかりやすく伝えます。男の子が「気になっていて知りたいこと」「なかなか人に言えないこと」「親御さんも説明しにくい体と心のこと」を自分のことも周りの人のことも大切にできる大人になるため、親自身も学べ、小学・中学生の男の子に安心して手渡せる内容の教育マンガです。