教育費の目標は「まずは大学までに400万円」がおすすめの理由

橋本絵美
2024.08.29 14:03 2024.08.19 11:50

空を見る中学生

子育てをする中で、多くの親を悩ませるのが教育費の問題。

子ども一人につき、いつまでに、いくらあれば安心か、その具体的なアドバイスを、ファイナンシャルプランナーの橋本絵美さんの著書『子ども6人FPが教える お金が貯まる・使える 紙1枚かんたん家計管理』より抜粋してご紹介します。

※本記事は、橋本絵美著『子ども6人FPが教える お金が貯まる・使える 紙1枚かんたん家計管理』(日本実業出版社)より、一部を抜粋編集したものです。

教育費は大学入学までに400万円は貯めたい

高校生の男子

子どもがどのような進路を選ぶかはわかりませんが、多くの子は高校を卒業後、大学や専門学校に進みますので、この費用を貯めるのが教育費のひとつの目標です。

私立の四年制大学の場合、1年間の学費平均は文系で約96万円、理系で約132万円※1です。これに、初年度は入学金もかかります。国公立は学部に関係なく、授業料は約54万円※2ですが、県外に進学すれば一人暮らしの費用もかかるため、一概に安いとはいえません。専門学校も授業料は高く、私立大学と同程度かかると思ってよいでしょう。

教育費の目標目安としては、高校卒業時点で400万円をおすすめしています。最低でも300万円、できれば500万円くらいあれば安心です。400万円あれば、入学金や入学時のパソコン代、引越し代を含め、2~3年分の学費は間に合います。不足分は通いながら貯めていくこともでき、奨学金を借りるにしても最後の1年分くらいで済むので、子どもに負担をかけすぎずに済みます。

※1 文部科学省 令和3年度私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額より、授業料、施設設備費を抜粋。
※2 文部科学省 国公私立大学の授業料の推移より。

中学受験する場合の学費目安

勉強をする男女

少し前までは、中学受験するのはクラスのごく一部の子くらいでしたが、今はかなりの人数が受験するようになり、都市部だけでなく地方にも「中学から私立志向」の動きが広がっています。

中学から私立に通わせる場合、気になるのは学費ですが、文科省の「子供の学習費調査(令和3年度)」によると、年間で約144万円(塾代含む)です。授業料だけ見れば約48万円ですが、それ以外に学校納付金や、通学定期代、修学旅行費、学用品費などが公立より高くなり、塾に行かなくても年100万円は超えます。

中学には、高校のように授業料無償化の助成制度もありません。少なくとも、大学の学費を貯めながら月10万円を払い続けられる経済的余裕がないと、厳しいと思ったほうがいいでしょう。我が家も、一人につき月10万円を払うつもりで計画しています。

受験前にも、小学校3年生くらいから塾に通い始めるため、塾代も用意する必要があります。子どもが一人なら、ママのパートでもなんとかなりますが、二人、三人いる場合は慎重にプランニングしましょう。

資料:文部科学省「子供の学習費調査(令和3年度)」

高校3年時にも100万円を用意しておく

受験会場の入り口

「大学入学までに400万円」と説明しましたが、大学に入る直前の高校3年時の受験期にも、お金がかなりかかります。一般受験する場合、受験費用や塾代に100万円以上かかることも珍しくないからです。この費用は、大学のお金とは別に貯めておきたいところです。

私立大学の受験費用は1回あたり3万5000円が相場です。私立大学の受験は、受験日さえ重ならなければ、いくらでも受けられ、滑り止めを含めて一人10回以上試験を受けるケースは珍しくありません。県外の大学を受験する場合は、交通費や宿泊費も必要です。

私立高校の場合、学校に受験対策コースがあることが多いですが、公立高校だと外部の塾に通うことになります。塾に通えば、月謝以外に夏期講習、冬季講習、補習、模試代などに「課金」も必要です。

塾代がきついからと、大学用に貯めていたお金を使ってしまうと、あとが苦しくなります。下の子がいる場合、その子の教育費にも影響してきてしまうので、高校3年用の教育費はおろそかにできません。もし、推薦で入学が決まり、塾代がかからなければ、受験用に貯めたお金は留学費用や老後資金に回すこともできます。備えあれば、憂いなしです。

教育費は、使うタイミングが決まっているので「ちょっと待って」ができません。繰り返しになりますが、逆算して今いくら貯める必要があるのかを見極め、粛々と貯めていくしかないのです。このままでは厳しいなと思ったら、紙1枚やりくり表を見て、削れるところをもう一度探してみましょう。年の出費で、被服費を一人1000円削るなど、広く薄く削ってみる方法もおすすめです。意外と大きな金額が生まれたりします。

「もう削れない」と思っても、あとひと押し。その先に、何があってもブレずに目標を達成していく、強い家計ができることを、私が保証します。

さあ、頑張って!

橋本絵美

福岡県出身。慶應義塾大学商学部卒。2男4女を育てる大家族ファイナンシャルプランナー。お片づけプランナーとしても活動中。相談を受ける中で得た知恵と自身の経験を生かした家計改善術や共働きパパママ、ワンオペママを中心に生活がラクになる片づけ、家事のアドバイスが好評。

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