子どもを伸ばすために、親が意識すべき時期―それは、4月、7月、9月です。

ではどうして、4月、7月、9月なのでしょうか?

 

 

 

 

子どもを伸ばすのは、4月・7月・9月

 

【1】4月は「スタイル」を習慣化させるのに最適

 

まず、4月。

 

この月が、子どもを伸ばすために親が意識すべき月だということは、皆さんにも共感いただけると思います。4月はいうまでもなく、新学期が始まる時期。子どもの心の中には入学や進級に対する不安な気持ちもありますが、それよりも、新1年生は「小学生になった!」、新2年生以上は「進級した!」という喜びにあふれ、「がんばろう」という気持ちが1年を通していちばん満ちあふれています。

 

入学により、それまで通っていた幼稚園や保育所とは雰囲気ががらりと変わったり、進級で担任の先生が替わったり、クラス替えで仲良しの友だちと離ればなれになってしまったり......。環境の変化が大きく、親子ともどもストレスを感じる時期でもありますが、年度始めのこの月は、「帰ってきたらすぐに宿題をする」「毎日決まったお手伝いをする」など、学習スタイルや生活スタイルを習慣化させるのに、いちばん適した時期です。

 

のちほど詳しく述べますが、特に「宿題の習慣化」は1年生の4月が肝心です。ここでつまずいてしまうと、3年生くらいまではなんとかごまかせますが、それ以降で"お手上げ"状態になってしまいます。

 

お母さんは心配症だから、学校が始まったばかりで子どもが「今日は疲れているから宿題はあとでやる」などと言ってくると「それなら、しょうがないね」と寄り添ってしまいがちになりますが、とにかく、スタートが肝心です。毅然とした態度で、やるべきことはやるクセをつけさせる大事な時期です。

 

【2】7月は、野外体験など勉強以外の体験で子どもを伸ばす

 

7月といえば夏休み。親子でホッとひと息つける、長い休みが始まる時期です。宿題などが課される以外は大きなしばりがないため、自由に過ごせるこの時期だからこそ、「親が子どもを伸ばす能力が問われる時期」ということもできます。

 

長い夏休みの落とし穴は、ややもすると「クーラーのきいた涼しい部屋で、子どもがゲーム三昧になってしまいがちになる」ということ。ゲームをしている時間、子どもは静かにしているので親は楽ですが、そのような生活を積み重ねた子どもは、私の経験から言わせていただくと、理屈っぽくてコミュニケーションが下手で、社会に出てから「みんなのために働くぞ!」といったタイプの人間にはなれない可能性が高くなりますね。

 

小学生時代という限りある時間の中では、外を走り回ったり、もめごとを経験して人間関係の機微を味わったりなど、やるべきことがたくさんあるのに、ゲームに時間を取られてしまうと、何も積み上がりません。

 

7月からの夏休みの時期は、「ゲーム三昧」はもってのほかです。勉強はもちろん、勉強以外の体験も充分させ、子どもの「伸びる脳」をあと押ししたいものです。勉強以外の体験として私がおすすめするのは、キャンプや川遊びなどの野外体験です。便利で快適な普段の生活から離れ、エアコンもガスコンロもIHもない野外に出て"不自由な体験"を味わい、「もうひとがんばりで克服できる」というようなチャレンジを、子ども時代にたくさんさせ、それを乗り越えることが、子どもの成長を促します。

 

野外体験のほか、茶道の先生にお茶の基礎を習うなど伝統文化の体験や、海外旅行などでの異文化体験もよいでしょう。普段と違う体験をどれだけさせてあげられるか―それが、子どもの 「伸びる脳」を育むポイントになります。

 

【3】「学校に行きたくない」――"見えない落とし穴"がある9月

 

実りの秋に向かう9月も、子どもの「伸びる脳」をあと押ししやすい時期です。長かった夏休みが終わって気持ちをリセットし、「一学期にできなかった○○と△△にチャレンジしてみようか」など、子どもの気持ちをもう一度ふるい立たせるきっかけをつくりやすい時期です。

 

大半の子どもたちはハッピーに学校生活に戻れるのですが、中には、夏休みの後半くらいから「頭が痛い」「おなかが痛い」が始まり、9月目前になってもズルズルと引きずってしまう子がいるのも確かです。

 

特に夏休み明け最初の日は、親が気をつけなければならない日です。一学期に少し登校しぶりのあった子が「宿題ができていない」「体の具合が悪い」などと訴えたら要注意です。

 

内閣府が過去40年間の累計日別自殺者数を独自に集計し、18歳以下の子どもの自殺は、9月など「長期の休み明け」に突出していたことを平成26年度版『自殺対策自書』で明らかにしました。これまで自殺者数は、月別、年次などに区切って出されていたため「日別」で発表されたのは初めてのこと。また、18歳以下に限って集計されたのも初めてでした。

 

そうなのです。夏休みが終わったあとの9月には、見えない"落とし穴"があるのです。年度の始まる4月は、みんな平等に新しいクラスで、友人関係もまだぎこちないもの。しかし、2、3ヵ月経つと、ある程度の人間関係ができてきます。1学期、そこにスッと入れなかった子にとって、夏休み明けの9月というのは、その輪に入れるかどうかということが、すごく負担になるものなのです。もちろん、不登校のきっかけとなる要因は友人関係だけでなく、親、先生、その子自身の性格などさまざまな要素がからみ合っていて、一概には決められません。子どもによって条件も症状も異なりますが、夏休み明け、難なく学校生活に戻れる子どもたちの中にまぎれて、このような危険を抱え込んでいる子もいることを知っておいてください。

 


 

【本書のご紹介】

小学生の「伸びる脳」は4月・7月・9月で決まる!

 

『小学生の「伸びる脳」は4月・7月・9月で決まる!』

学力も生活習慣もグングン伸びる子、「あと伸び」できる子の育て方を、学年別に徹底紹介します。
※家庭直販書です。一般書店では販売していません。


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【著者紹介】
高濱正伸(たかはま・まさのぶ)
花まる学習会代表。1959年、熊本県生まれ。県立熊本高校卒業後、東京大学へ入学。同大学大学院修士課程修了。1993年、小学校低学年向けの「作文」「読書」「思考力」「野外体験」を重視した学習教室「花まる学習会」を設立。同時に、ひきこもりや不登校児の教育も開始。1995年には、小学4年生から中学3年生対象の進学塾「スクールFC」を設立。教育信条は、子どもを「メシが食える魅力的な大人に育てる」こと。教室での独創的な授業のほか、サマースクールや雪国スクールなど、独自の試みが評判を呼び、花まる学習会、スクールFCの会員数は1万8千人を超える。また、各地で行なう講演会も、毎回キャンセル待ちという盛況ぶり。『情熱大陸』『カンブリア宮殿』『ソロモン流』をはじめとするTV出演ほか、ラジオ、雑誌、新開などにおいても、そのユニークな教育手法が紹介されている。
著書は、『わが子を「メシが食える大人」に育てる』(廣済堂出版)、『大人の「メシが食える力」10』(マガジンハウス)、『本当に顔がいい子の育て方』(ダイヤモンド社)、『「自分のアタマで考える子」の育て方』(PHP文庫)など多数。累計売上は100万部を超える。