思春期あるある? 「親を見下す子」とどう向き合うべきか

中野日出美
2023.10.05 15:44 2023.05.06 06:00

「親は自分よりもバカ」という勘違い

反抗期の息子と父親

中には、子どもに部屋を片づけるように注意すると、「お母さんなんか、お父さんの給料で食べている奴隷みたいなもんなのに、エラそうに言うなよ」と言ったり、「しっかり勉強しなくちゃダメだぞ」と父親から言われた際に、「はい、はい。勉強しないと、お父さんみたいに一生、安サラリーマンで終わるもんね」などと、完全に親をバカにした言葉を平気で投げかける子もいます。
また、定期試験で成績が下がると、「前日、お母さんがつくった料理を食べたことで、お腹の調子が悪くなったせいだ」などと、何でも親に責任転嫁するようになるかもしれません。
こうなると、親が子どもから脅され、傷つけられていると言っていいでしょう。
子どもからのパワハラみたいなものです。
親を脅したり、バカにしたりする子どもの潜在意識には、「親は自分よりもバカでダメな人間だ」「自分は特別な人間なのだから、優遇されて当然だ」という勘違いが植えつけられています。

今こそ子どもと向き合うべき

思春期男子

子どものこんな態度をすべて思春期のせいにしていると、大変なことが起こる危険性があります。
まず、ワガママ放題の人間に育ってしまった子どもは、学校や社会での厳しさや公平さに我慢ができず、リタイアし、引きこもりになり、大人になってもずっと、親のスネをかじり続けるようになるかもしれません。
もしかすると、うまい具合に就職しても、周囲とのコミュニケーションがとれず、転職を繰り返すかもしれません。
結婚しても、妻を親に見立てたり、召使い扱いして、暴力を振るうかもしれません。
大切な子どもがそんな悲しい人生を送るのは、親として耐えられないですよね。
だからこそ、親はしっかりと子どもとの関係性に向き合うべきです。
子どもが親の人格や尊厳を傷つけるような態度や言葉を発したら、どんなに反抗されようとも、しっかりと立ちはだかり、子どもの目を見て、叱ってください。
子どもが自分の失敗を親や他人のせいにしたら、同じように目を見て、たしなめてください。
人間として、きちんと叱責してやれるのは親だけなのです。

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言葉にできない気持ちをわかってほしい 思春期の男の子が親に求めていること
この時期の親の関わり方で、男の子の人生は決まる! 3000組以上の親子関係を見てきた心理セラピストが「心と体」「友だち関係」「勉強」など5つの側面から、それぞれの問題に親がどう対応すべきかを平易に解説した必読バイブル。

中野日出美

中野日出美

NPО法人日本心理コミュニケーション協会代表。公認心理師。心理セラピスト。絵本作家。親子関係の改善を図るセラピーの専門家。