トップレベルの成績が急降下…「急に不登校になった息子」に親はどう声をかけるべき?

親野智可等
2023.09.15 16:56 2023.08.28 11:50

今や不登校は1つのライフスタイル 家での時間を充実させよう

楽しそうに学校に通っていた子が急に休むようになり、親も子もその原因が分からない。こういった状況は親にとっても不安が増しますよね。今までは普通のことだった「登校」ができず、普通でなくなった我が子に戸惑ってしまう、とか、子どもが家にいることで親の予定も立てづらくイライラしてしまう、というような話も聞かれます。

親の心の持ちようとしてまず大切なのは「登校ありきで考えないようにする」ということですね。不登校も立派な選択肢の1つ。まずは親の意識改革が大切です。

子どもを無理に登校させるのはリスクがあります。例えばお子さんの不登校の原因がいじめだった場合。登校させることで被害が大きくなりますし、お子さんは無理に登校させられたことで親への不信感を高めます。

唯一落ち着ける空間だった家の中が、親との関係悪化で居づらくなるとどうなるでしょう。学校や家以外で居場所を探すようになります。町中や駅前などをフラフラしたり、知らない人と連絡するようになったり、ネット空間で居場所を探したり…。

学校に行かなくても家で充実した時間を過ごすことはできます。家での時間を安らかな気持ちで過ごせるようにしましょう。本人がやりたいことをたっぷりやらせてあげることも大事です。

もし子どもが「学校にはもう行かない」という決意をしたならば「学校に通う以上に充実した時間を過ごす」ことを目標にして、親子でそこに向かっていくのがよいでしょう。

今はネットでもいろいろ学べる上に、オンライン講義の幅もどんどん広がっています。学校に通わずとも自宅で勉強するための環境が十分に整えられます。

英語一つとっても、オンラインでネイティブと話したりAI英会話アプリで勉強したりしたほうが学校の授業よりも上達しますよね。子ども一人ひとりの得意不得意に合わせられる分、オーダーメイドの授業が実現できます。学校に通うよりも子どもの個性をより伸ばせるかもしれません。

ただ、子どもは自分で物を買うこともできませんし、そもそもどんな選択肢があるのかも分かりません。親が環境づくりのためのサポートをすることが重要です。

発明王として名高いエジソンも、影に母の援助がありました。息子が思う存分好きな実験ができるよう支えたのです。エジソンは3年生で小学校をやめました。好奇心が旺盛だったエジソンは素朴な質問を繰り返しては先生を困らせていたそうです。

教材

先生から暴言を吐かれていることを知った母のナンシーは激怒し、学校をやめさせました。そしてナンシーは、エジソンが「なぜ」を口にするたびに「じゃあ調べてみようか」と、2人で図鑑を眺めながら自宅で教育していったそうです。

実験に夢中になったエジソンは、お小遣いで化学薬品を買い、思う存分実験に没頭していきました。あのとき彼を小学校に無理やり行かせていたら、そして、母のナンシーの温かい援助がなかったら、白熱電球の発明はもっと後のことになっていたことでしょう。

学校に行かずとも学びを止める必要はありません。選択肢はたくさんあり、学校だけが全てではないことをまずは親自身が理解しましょう。そうすれば、子どもの選択を受け入れられると思います。

学校に行きたくない理由を話してくれない

落ち込む女子高生

子どもが「学校に行きたくない」と言う日が増え、不登校の一歩手前です。行きたくない理由を知りたいのですが、うまく聞き出す方法はありますか?

(高校1年女子の母)

問い詰めず、ひたすら共感的に話を聞く

親としても子どもが学校に行きたくない理由は気になりますよね。子どもから理由を聞き出すときに大切なのは「共感的に聞く」ということです。

「そうなんだ。それは困るよね」「大変だね」「苦しいね」「嫌になっちゃうよね」と、ひたすら共感的に聞きましょう。親が共感的に聞いてくれると子どもは話しやすくなります。

たくさん話すことができれば、溜まっていたものを吐き出すことができ、それだけでも少し気持ちが軽くなります。また話している中で子ども自身が自分の気持ちや問題点を整理することもできます。

そして、自分の話に共感してくれた親に対して大きな信頼を寄せるようになります。「自分の気持ちを分かってくれた。自分の大変さを理解してくれた」と感じるからです。同時に、親の方にもたくさんの情報が入るので、理由などが見えてくる可能性も高まります。

子どもが話したくなさそうな場合は無理強いしないようにしましょう。「何かあったら話してね」「お父さん、お母さんはいつもあなたの味方だよ」と親が気にかけていることを伝えます。そうすれば、一緒に散歩をしているときやおやつを食べているときなどに、ふと話し出すこともあります。

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